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治験・先進医療センター

更新:2024年4月

くすりが誕生するまで

患者さんへ

くすりが誕生するまで

多くの医薬品が医療のさまざまな分野で使用され、多くの患者さんがその恩恵を受けています。現在も、より有効な治療法を開発するために新薬の研究がおこなわれています。新薬として世に出るためには、厚生労働省からくすりの製造販売について承認を得ることが必要です。そのために最も重要な段階として「治験」がおこなわれます。

ひとつの新しいくすりが生まれ、患者さんの手に渡るまでには10年以上の歳月と100 億円以上の莫大な開発経費が必要だと言われています。

治験とは

人を対象とした試験を一般に「臨床試験」といい「くすりの候補」「医療機器の候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。新しい「医薬品」「医療機器」を多くの患者さんの治療に役立てるようにするには、必ず「治験」を行い、人における効果と安全性を確かめなければなりません。現在、広く治療に使われている「医薬品」「医療機器」はこうした過去の患者さんの協力のもとに生み出されたものです。未来の患者さんによりよい医療を提供するためにも「医薬品」「医療機器」の開発が必要とされています。

治験のステップ

化学合成や、植物、土壌中などから発見された物質の中から、試験管の中での実験や動物実験により、病気に効果があり、人に使用しても安全と予測されるものが「くすりの候補」となります。

少数の健康な成人にご協力いただき、薬の安全性(体内でのくすりの働きなど)を調べます。

少数の患者さんにご協力いただき、薬の効果と安全性を調べます。使用方法やどのくらいの量がよいかなどについても確認を行います。

多数の患者さんにご協力いただき、薬の効果があるか、安全かどうかの最終的な確認を行います。

こうして得られた成績を国が審査して、病気の治療に必要で、かつ安全に使えると承認されたものが「医薬品」「医療機器」となり発売されます。

「医薬品」「医療機器」として発売した後でも多くの患者さんに対して安全性に問題はないか、効果があるか等について調べます。

使用成績調査、特定使用成績調査などがあります。 市販後も日常診療下で使われた情報を調査して安全性等について再審査します。

治験のルール

治験では、参加していただく患者さんの人権と安全を最大限に守り「くすりの候補」「医療機器の候補」の効果や安全性を科学的な方法で正確に調べるために、大変厳しいルールが国によって定められています。治験を行う製薬会社、病院、医師や医療スタッフはこのルールに従って治験を行っています。

  • 薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)
    製薬会社は治験の内容を国に届け出なければ実施することはできません。
  • 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(=GCP[Good ClinicalPracticeの略]) 厚生労働省の定めた省令。GCPでは製薬会社や医師、医療機関など治験に関わるすべてに対する基準が厳しく定められています。
    この規則は欧米諸国をはじめ国際的に認められています。
  • 同意が得られた患者さんのみを治験に参加させること
  • 実施する医療機関では治験審査委員会が設置されており、治験内容について十分審議し、承認されたものだけが実施されます。

インフォームド・コンセント

医師は「くすりの候補」を使えば、病気に効果があると期待される患者さんに対して説明を行います。患者さんの自由な意思にもとづく文書での同意(同意書への署名)があってからでないと治験は始められません。説明文書をもとに治験のスケジュールや「くすり」のこと、予測される効果・副作用などがくわしく説明されます。わからないこと、確認したいことなど、納得するまでどんなことでも質問することができます。治験に参加するかしないかは、だれからも強制されることなく、自分の意思で決めることができます。説明を受けたその場で決めず、説明文書を持ち帰って家族に相談してから決めることもできます。治験に参加された方のプライバシーは厳重に守られ、外部に漏れることはありません。「インフォームド・コンセント」とは自分の病気やこれから行われようとする治療方針について、医師から十分な説明を受けて、よく理解した上で患者さん本人の自由意思で治療を受けることに同意することをいいます。

治験審査委員会

病院で実施される治験が、治験に参加する人の安全や人権も含めた倫理的な面と科学的および医学的・薬学的な面から、妥当であるかを審議するために病院内に設置されている委員会のことをいいます。委員会は病院の医療関係者の他に、医療の専門家以外の人、病院と利害関係のない人も参加しています。