文字サイズ

086-462-1111(代表)

生理機能検査・検体検査

生理機能検査

脳・神経機能検査

循環・呼吸機能検査

超音波検査

バスキュラー検査

脳・神経機能検査

脳波検査(EEG)

大脳皮質の神経細胞群から発生する電気活動の総和を頭皮上電極より導出、記録したもので、脳の機能的および器質的疾患が疑われるときに行われる検査です。

脳幹聴覚誘発電位検査(BAEP)

音刺激により蝸牛神経から脳幹部経路に生じる反応を検査します。

BAEPは、時間10msec内に7個の陽性頂点をもつ遠隔野誘発電位(far field potential)で、各波形の名称はI波、II波、III波、IV波、V波、VI波、VII波と呼ばれ、その起源も明らかにされており、診断的価値が極めて高く、脳幹障害の診断をはじめ、難聴や乳幼児の聴覚障害のスクリーニングなどにも幅広く臨床応用されています。また、この検査は脳幹機能の存在程度が把握できることから、最近では脳死判定にも用いられています。

体性感覚誘発電位検査(SEP)

短潜時SEP検査(S-SEP)

手や足の感覚神経を刺激したときに発生する電位で、その起源は比較的明確です。主に刺激伝導路(末梢神経、脊髄、脳幹、大脳皮質)の機能障害を検索するときに行われます。基準電極の位置により脊髄SEP(spinal SEP)と遠隔電場SEP(far field SEP)に分類されますが、通常お互いを組み合わせて記録します。

長潜時SEP検査(L-SEP)

末梢神経から脊髄、大脳皮質に至る体性感覚経路を全体的にみるもので、手や足の感覚神経を皮膚表面から電気刺激し、反対側の大脳皮質感覚野から導出される誘発電位です。

視覚誘発電位検査(VEP)

光や図形(白黒の格子縞模様)などの視覚刺激を与えて、大脳皮質視覚野に生じる反応を記録する検査です。視覚神経路の障害の有無を知ることができます。当検査室では図形反転させるパターンリバーサル刺激を用います。この刺激は白の格子と黒の格子が一定の時間間隔で互いにその位置を交換する方法で、比較的弱い光エネルギーで効果的に視覚領のニューロンを刺激できる優れた方法です。

末梢神経伝導検査(NCS)

末梢神経を皮膚上で電気刺激し、筋肉や神経上に誘発された活動電位を記録します。得られた活動電位から伝導速度、振幅、持続時間などを測定して、末梢神経病変の有無や病態解析に利用します。

末梢神経伝導検査には、運動神経伝導検査(MCS)と感覚神経伝導検査(SCS)があり、目的にあわせて検査を行いますが、両方を組み合わせて行うのが一般的です。なお、この検査は電気刺激により多少の痛みと違和感を伴います。

F波

運動神経伝導検査(MCS)で得られる活動電位より遅れて出現する微小な波をF波といいます。F波は、刺激の興奮インパルスがα運動ニューロンを脊髄まで逆行し、脊髄前角細胞を興奮させ、再びα運動ニューロンを順行性に下行して筋発射させる反応と考えられています。脱髄病変では、潜時の延長や多相性を呈することがあります。なお、この検査は電気刺激により多少の痛みと違和感を伴います。

反復刺激試験

神経・筋接合部での伝達障害または筋細胞の興奮性の変化を調べる検査です。末梢運動神経に反復して電気刺激を加えると、正常では、刺激周波数や刺激回数が増減しても得られる活動電位の振幅・面積には変化がみられず、ほぼ一定に保たれます。しかし、重症筋無力症を代表とする神経・筋接合部疾患では漸減(Waning)現象や漸増(Waxing)現象がみられ、鑑別診断に有用です。なお、この検査は電気刺激により多少の痛みを伴います。

瞬目反射

三叉神経第1枝(上眼窩神経)の電気刺激などによって誘発される下眼輪筋の反射性電位を記録し、三叉神経を求心路、顔面神経を遠心路とする脳幹反射の神経伝導を客観的に評価する検査です。これにより、三叉神経、顔面神経、脳幹などを侵す疾患の病態解析や経過観察を行います。なお、この検査は電気刺激により多少の痛みを伴います。

筋電図検査

骨格筋が収縮するときに生じる活動電位を筋電計で観察し、筋や運動神経の状態を判定する検査です。つまり、活動電位の波形(形、振幅、持続時間)や出現様態により、末梢神経・筋系の異常を検索するのに用います。また、異常筋電図の種類、出現部位や程度により疾患の診断に有用です。なお、この検査は筋肉に針を刺しますので、多少の痛みを伴います。

重心動揺検査

直立姿勢に現れる重心の動揺を重心動揺計を用いて記録し、めまいの有無、程度、種類の鑑別や、めまいの治療効果、治癒の判定(経過観察)を行う検査です。

循環・呼吸機能検査

心電図検査

最も基本的で簡便な検査で、心筋細胞に発生した電気的興奮の変化を記録するもので、全く侵襲がありません。狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患や不整脈の診断に有用です。

心臓超音波検査(心エコー図検査)

心エコー図法

胸壁上に探触子をおき、心臓内へ超音波を投入することによって、心臓内の構造や動き、血流を同定する方法で、断層法(Bモード法)、Mモード法およびドプラ法の3つがあります。断層法は心臓の断面を二次元的に描出するもので、心臓の形態や各部の動きを立体的に把握する手段となります。

また近年、3Dエコーの評価が可能となり、より立体的に詳細な心臓の動きや弁膜症などの診断が可能となりました。Mモード法は心臓各部の動きの時間的位置変化を表示するもので、内径や壁厚の計測に用いられます。ドプラ法では心臓内の血流の速度や方向を調べることができます。

経胸壁ドプラ冠動脈エコー図検査

経胸壁ドプラ法を用いて、冠動脈病変を簡便に診断できるようになりました。一部の冠動脈は評価出来ない事がありますが、非侵襲的で安全な検査です。

経食道心エコー図法

空気は超音波を吸収し、骨は反射するため、通常の経胸壁心エコー法では肺、肋骨、胸骨などの障害物のために良好な画像が得られないことも少なくありません。特に体の背部に位置する左房、肺静脈や下行大動脈について詳細な情報を得ることは難しいです。食道と心臓は近接しているため、超音波探触子を食道内に挿入し、食道の内側より心臓内に超音波を投入することによって、障害物なしに、極めて良好な心臓の断面像を得ることができます。しかし、内視鏡的技術を必要とし、多少とも侵襲的といえる検査法です。

ホルター心電図検査

心電図を連続的に長時間記録することで、日常の安静時心電図あるいは運動負荷心電図では捕捉し得ない不整脈や、ST-T変化の評価、定量的解析が可能となり得ます。また、日常生活上、行動内容・発生時刻および発生状況と異常波形の関連性を把握し、適切な薬剤投与や治療、あるいは無症候性の虚血性心疾患の診断においても重要な検査法です。さらに学童検診の精査や人工ペースメーカーの機能診断にも応用されています。

運動負荷心電図検査

動くベルトの上を歩行し、運動量を除々に増していくものです。始め動くベルトの上を歩きながら足慣らしをした上で、3分毎にベルトの動く速度と傾斜を変化させて運動量を増していきます。負荷中の心電図、血圧監視ができ、また各個人に応じた負荷をかけられる利点があります。

予め医師の診察を受け、必要と認めた方に受けていただきます。検査中は熟練した医師が立ち合い、心電図、血圧、心拍数を監視します。心拍数が目標の値に達した時、胸痛が現れたときや立ち合い医師が必要と判断した場合には検査を終わります。

肺機能検査

一般的な肺機能検査は、空気の出入りの機能を調べる検査で、換気機能検査と呼ばれています。検査項目としては、肺活量(ゆっくり吐いたり、吸ったりした時の容量)や強制呼出曲線、フローボリューム曲線(最大努力呼出を行った時の息を吐く速さと、容量の変化を記録したもの)があります。この検査から、「%肺活量」「1秒率」を求め、換気機能障害の有無を検索します。精密な検査を希望する場合は、これに加えてガス交換機能の良し悪しをみる検査(肺拡散能力)、肺内ガス分布をみる検査(クロージングボリューム)、気管支の抵抗を測る検査(呼吸抵抗)、吐けなくなるまで吐いても肺内に残存する気量を測るための検査(機能的残気量)などを行います。

超音波検査

腹部超音波検査

肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、脾臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣、胃、大腸などお腹の中にあるほぼ全ての臓器を調べることができます。無症状から発熱、腹痛、食欲不振、体重減少など様々な症状の方の原因を探す検査として有用です。

甲状腺超音波検査

甲状腺はのどぼとけの下にある臓器で新陳代謝をコントロールするホルモンを分泌しています。この検査は甲状腺の大きさや形、炎症や腫瘍の有無を調べます。

乳腺超音波検査

乳腺内の腫瘍や乳管拡張などの変化を観察します。マンモグラフィーと違い、妊娠中の方も検査でき、痛みもありません。

関節超音波検査

主に関節リウマチや痛風の診断に有用です。手の指など小さな関節から肩や膝など比較的大きな関節までいろいろな関節を検査します。骨の変形が無いか、水がたまっていないか、関節や腱に炎症が無いかを評価します。

体表超音波検査

皮膚や皮膚の下のできものを観察します。また首などのリンパ節に炎症がおこり痛みや腫れがみられる場合にリンパ節の様子を調べる時にも有用です。

バスキュラー検査

血管(動脈と静脈)の病気や健康度、血液を流す機能を調べる、無侵襲な検査を集めた検査室です。体に針を刺したり薬やレントゲンを使ったりしないため、繰り返し検査を受けても体に害がありません。このため病気を発見するだけでなく、経過や治療の効果をみるのにも適しています。

血圧脈波検査

足関節上腕血圧比 / 足趾上腕血圧比 / 脈波伝播速度(ABI / TBI / PWV)

両腕と両足首に血圧計を巻き、4カ所の血圧と脈波を同時に測定します。腕や脚の動脈が狭くなり、血圧や脈波が下がっていないかを調べる方法です。当院では足ゆびの血圧も測定することで、より精度を高めています。動脈に強い狭窄がない人では、同時に動脈硬化の進行の目安値(血管年齢)も測定されます。

運動負荷ABI

トレッドミル(動く床)の上を3分間歩いた前後で、足関節上腕血圧比(ABI)を測定します。運動時にのみ脚の血流が足りなくなる、軽い動脈の狭窄の有無を調べます。また運動後からABIが回復する時間を調べることで、血流の悪さの重症度を評価します。(事前に承諾書をいただきます)

最大歩行距離

トレッドミル(動く床)の上を、脚の痛み等で歩けなくなる限界まで歩いていただき、その距離を測る検査です。閉塞性動脈硬化症など、動脈に狭窄・閉塞がある患者さんの重症度を評価します。(事前に承諾書をいただきます)

指尖容積脈波

手や足のゆびを測定器で軽くはさみ脈を感知する検査で、ゆび先の血流を調べます。

皮膚灌流圧

皮膚の血流量を調べます。測りたい部位に小さな血圧計を巻いて測定します。足の潰瘍が治りにくいなど、皮膚の血流不良が疑われる場合に行います。

経皮酸素分圧

皮膚の血流量を調べます。測りたい部位に44℃に温まるセンサーを貼り、15~20分置いて測定します。足の潰瘍や傷が治りにくいなど、皮膚の血流不良が疑われる場合に行います。

空気容積脈波

足の静脈の逆流量(立ったときに血液が足首方向へと流れてしまう)や、血液を送り出すはたらきを調べます。ふくらはぎに緩い血圧計のようなものを巻き、寝た姿勢から立ち上がったりつま先立ち運動をしたりして検査します。足のむくみや静脈瘤の治療前後など、静脈機能を評価したいときに行います。

脈管エコー

エコー(超音波検査)を使って動脈や静脈太さや狭窄、流れの有無、流れる速度や方向などを評価します。下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、頸動脈、透析用シャント、腎動脈、下肢動脈などの評価を行っています。

検体検査

一般検査

一般検査

一般検査は、さまざまな専門的検査の前に、病態を大まかにふるい分けるために行う検査です。

尿・糞便、精液、喀痰好酸球など、血液材料以外の検査を行っています。

尿検査

尿は多くの物質を含み、その組成は絶えず変動しています。尿の成分変化を捉えることで、体の状態について多くの情報を得ることができ、腎・尿路系の疾患だけでなく、その他多くの疾患の早期発見・経過観察などに役立ちます。

尿定性・半定量検査

尿の蛋白・糖・潜血・ケトン体・ビリルビン・ウロビリノーゲンの6項目について、自動分析装置を用いて陰性か陽性か、陽性ならばその程度を調べます。その他、尿の色調・混濁・pH・比重の検査もしています。

尿定量検査

尿蛋白量や尿糖量を自動分析装置で測定します。新鮮尿の他、蓄尿や腹膜透析液も同様に検査しています。

尿沈渣

尿沈渣は、尿を遠心し上清を取り除いた後に得られる沈殿物(有形成分)です。この沈殿物を顕微鏡で観察し、細胞成分(赤血球・白血球・上皮細胞)や円柱・塩類結晶・細菌などの有無や増加を調べます。また、異常な成分や細胞が出現していないかなどもみています。検査室では、尿中有形成分の自動分析装置も併用しています。

その他

尿中赤血球形態・妊娠反応などの検査も行っています。

糞便検査

便潜血反応

肉眼ではわからない、ごく微量の血液(潜血)を検出し、消化管出血の有無をみています。大腸がんなどの早期発見に役立ちます。

その他

寄生虫卵や便膿球(白血球)・脂肪球を検出する検査もしています。

精液検査

精液の一般性状(量・色調・pH)や、精子数・生死率・運動率・奇形率を調べます。男性不妊症の診断や治療の経過観察などに有用な検査です。

好酸球検査

喀痰や鼻汁中の好酸球の有無を調べています。

免疫生化学検査

生化学検査

採取した検体(血液、尿、髄液、胸水、腹水など)を用いて、検体に含まれる物質(タンパク質、脂質、酵素、電解質など)を自動分析装置で分析します。約50項目の測定ができ、体全体の健康状態や、各臓器の障害度合いなどがわかります。

免疫検査

血液を遠心分離した血清(血漿)を用いて、ホルモン・腫瘍マーカー・肝炎ウイルスなどを免疫自動分析装置で分析しています。

糖尿病関連検査

血糖値、ヘモグロビンA1c等の測定を行っています。ヘモグロビンA1cは、過去12か月の血糖値の平均を反映しています。


その他、血液ガス・血中薬物濃度・感染症検査なども行っています。

血液検査

血液検査

私たちの血液の中には、体の中を活動している細胞に酸素を供給する赤血球、細菌などの外敵の攻撃に備える白血球、止血を担う血小板があります。これらの数や機能、形を調べる検査をしています。

血算

貧血や炎症などの目安となる赤血球数、白血球数、血小板数を自動血球計数装置で計測しています。

末梢血液像分類

血球成分は、病気によってその数や形態が変化します。血球計測の結果をもとに標本を作製し、顕微鏡で形態異常や異常細胞の有無を観察します。

骨髄像分類

末梢血検査にて異常の見られる場合、必要に応じて血球産生の場である骨髄を採取し、形態学的検査を中心に実施される検査です。

フローサイトメトリー検査

顕微鏡では分からない、白血病やリンパ腫などの細胞の違いを、レーザーと蛍光標識によって識別する検査です。

凝固検査

凝固線容系

血液中には、出血を止める働きを持つ成分と、一度固まった血液を溶かす働きを持つ成分が含まれています。これらの成分の働きを検査しています。

血小板凝集能

血小板の働きを調べる検査です。脳虚血疾患治療などに用いられる抗血小板薬(アスピリン、バファリンなど)のモニターに使われます。

溶血検査

赤血球の病的減少(溶血)に関わる検査です。主として赤血球の形態異常によるものか、代謝異常によるものかを調べる検査です。

微生物検査

微生物検査

感染症(食中毒、髄膜炎、肺炎など)を発症または疑いのある患者さんの検体(喀痰、尿、便、血液、髄液、膿など)から原因菌(起炎菌)を検出し、菌名の決定(同定)とどの薬(抗生物質)が効くのか(薬剤感受性検査)を調べる検査です。

毒劇物解析検査

毒劇物解析検査

薬物、農薬および毒物の中毒患者さんの吐物、胃液、胃洗浄液、血液、尿検体について中毒原因物質を明らかにし、医師による解毒剤、透析、吸着法などによる治療を支援しています。

遺伝子検査

遺伝子検査

直接係わっている原因物質の証明には、そのDNAの一部(遺伝子)を解析することにより特定が可能となります。ここでは、PCR法などを中心とした検査手法により原因物質の特定を行っています。

  • ウイルス関連遺伝子検査
    HIV(HIV-RNA)、
    HBV(HBV−DNA

検査項目の基礎知識

更新 : 2020年4月1日
※2020年4月1日よりALP基準値変更。
変更以前の内容については中央検査部までお問い合わせください。

略称 漢字名称 基準値 単位 検査の内容説明
WBC 白血球数 3.30-8.60 ×103/μL  白血球は病原微生物に対して体を守る細胞です。細菌などが侵入してくると骨髄で盛んにつくられ、数が増えてきます。数を測定すると体の状態の把握が出来ます。炎症があるときも増えます。
RBC 赤血球数 男4.35-5.55
女3.86-4.92
×106/μL  赤血球は体の細胞に酸素を渡し、二酸化炭素を受け取って肺まで運んでいます。数が減った状態を貧血といい、酸素の運搬量が低下して体内が酸欠状態になります。
HGB 血色素量
ヘモグロビン
男13.7-16.8
女11.6-14.8
g/dL  ヘモグロビンは酸素を運ぶ役目の中心的役割を果たしています。貧血の有無や赤血球増加症を疑うときには、この検査で判断します。
HCT へマトクリット値 男40.7-50.1
女35.1-44.4
 へマトクリットは、一定量の血液中に含まれる赤血球の割合を調べる検査で、貧血や多血症の重症度がわかります。
PLT 血小板数 158-348 ×103/μL  血小板は、出血したとき、血を止める働きをします。数を測定することで、出血しやすい原因が、数の減少なのか、他に原因があるのかの判断に役立ちます。
Retic 網状赤血球数 0.5-2.0  若い赤血球は、特殊な染色で網状の構造がみえるので、網赤血球とよばれています。網赤血球数は、骨髄の赤血球系の造血機能を把握する検査の1つです。
TP 総蛋白 6.6-8.1 g/dL  体には多種類の蛋白質が存在していて、それぞれ違う働きをしています。血液中の蛋白質の量を測ることで、蛋白質の合成や使われ方に異常があるかどうかをみます。
Glu 血糖
グルコース
73-109 mg/dL  血液中のブドウ糖のことで、糖尿病の重要な指標です。ただし、食事や運動、ストレスなどによって変動するので、測定したときの背景も重要です。
A/G比 アルブミン/グロブリン比 1.32-2.23    アルブミン(A)とグロブリン(G)の濃度を比較した値で、血清蛋白成分の変動をおおまかに知るものです。
T-Bil 総ビリルビン 0.4-1.5 mg/dL  ビリルビンは赤血球が壊されるとき生成され、便とともに排泄されます。一部は再吸収され肝臓で再利用され、腎臓を経て尿中に出ます。血中のビリルビン濃度が高くなると、黄疸になります。
D-Bil 直接ビリルビン 0.4以下 mg/dL  直接ビリルビンとは、アルブミンと結合したビリルビンが肝臓に取り込まれてできるものです。総ビリルビンの一部ですが、黄疸の種類によって上がり方が異なります。
ALP アルカリフォスファターゼ 38-113 U/L  加水分解酵素の一つであり、肝臓・胆嚢の病気の時や、骨の病気の時の指標になります。また乳幼児期と10~12歳頃は成人の3~4倍程度高く、妊娠後期にも高くなります。
T-CHO 総コレステロール 142-248 mg/dL  コレステロールは、脂質の一種で、血管の強化・維持に大切な役割を果たしています。また、胆汁酸やステロイドホルモンを作る材料となりますが、多すぎると動脈硬化症など生活習慣病の原因になります。
γ-GT γ-グルタミル
トランスペプチダーゼ
男13-64
女9-32
U/L  肝臓・胆道系の病気の検査として使われ、とくにアルコール性肝障害や常習飲酒者および薬物性肝障害において上昇します。男性が女性より高めです。
LD 乳酸脱水素酵素 124-222 U/L  この酵素は体内すべての臓器に分布しており、細胞の変性や崩壊を反映するため、スクリーニング(一次検査)として重要です。
ALB アルブミン 4.1-5.1 g/dL  血液中にある蛋白の主成分で、肝臓で作られるので、肝機能の指標になります。また、腎臓に障害があると尿中に出ることもあるので、尿蛋白としても調べます。
GLB グロブリン 2.2-3.4 g/dL  蛋白を構成する成分の集合です。総蛋白、アルブミンなどと合わせて判断します。
ChE コリンエステラーゼ 男240-486
女201-421
U/L  血清や肝臓・膵臓に存在しますが、主に肝機能の評価に使われます。肝硬変では低下します。脂肪肝ではしばしば上昇します。
ALT
(GPT)
アラニンアミノトランスフェラーゼ 男10-42
女7-23
U/L  肝臓や胆道の病気の有力な指標です。ASTとともに測定され、ASTよりも肝臓に特異的な指標です。肝障害や胆道疾患などで高くなります。ビタミンB6の欠乏では低くなります。
AST
(GOT)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ 13-30 U/L  肝臓病や心臓病などの有力な指標で、ALTとともに測定されます。肝臓病、心臓病、筋肉の病気、溶血性の病気などで高くなります。ビタミンB6の欠乏では低くなります。
CRE クレアチニン 男0.65-1.07
女0.46-0.79
mg/dL  クレアチニンは筋肉および神経内で作られ、血液中に移行し尿中に排泄されます。クレアチニンの血中濃度は、腎機能障害の程度に応じて上昇します。
UN 尿素窒素 8-20 mg/dL  蛋白の最終産物は尿素で腎臓から排泄されます。尿素窒素は、血液の中にある尿素中の窒素量を測定しています。肝臓での尿素をつくり出す能力の低下によって低くなり、腎機能が低下すると高くなります。
UA 尿酸 男3.7-7.8
女2.6-5.5
mg/dL  尿酸は、核酸やプリン体代謝の最終産物で肝臓、骨髄、筋肉などで生成され、尿中に排泄されます。尿酸の排泄低下あるいは過剰産生によって血清中の尿酸値は増加します。尿酸値が高いと痛風を誘発します。
Amy アミラーゼ 44-132 U/L  でんぷん、グリコーゲンなどの多糖類を加水分解する酵素です。アミラーゼは膵臓と唾液腺に多量に存在し、これら臓器の炎症などにより血液中の値が上昇します。
CRP C反応性蛋白 0.14以下 mg/dL  感染症・炎症や組織の破壊が起こるとすぐに増える蛋白質の1つです。回復とともに減少するので、炎症の指標となります。
Fe 40-188 μg/dL  鉄はヘモグロビンの合成に使うため、血液中でトランスフェリンと結合し血清鉄として存在し、必要とする臓器へ輸送されています。血清鉄を測定することにより、鉄の欠乏や過剰などの鉄代謝異常が推測できます。
Na ナトリウム 138-145 mmol/L  体内の水分調節に大切な役割を果たしています。主にNaCl(食塩)の形で経口摂取され、おもに尿、汗、便などから排泄されます。水分代謝異常を疑うとき(浮腫、嘔吐、下痢など)に検査します。
Cl クロール 101-108 mmol/L  主にNaCl(食塩)として摂取され、腎臓を通って尿中に排泄されます。血清クロール値は通常、血清ナトリウム値と並行して変化します。
K カリウム 3.6-4.8 mmol/L  細胞内には多く存在しますが、血液中にはごくわずかで、その濃度は厳密にコントロールされています。腎臓に障害があると高くなります。高値になると心電図や筋肉に影響をもたらすことがあります。
IP 無機リン 2.7-4.6 mg/dL  食事により腸管で吸収され、骨に貯蔵し、過剰分は腸管と尿中へ排泄されます。したがって吸収、貯蔵、排泄の状況により値が変動し、主に内分泌や骨代謝・腎機能の異常を調べる目的で検査されます。
Ca カルシウム 8.8-10.1 mg/dL  大部分は骨に含まれ、血液中にはごくわずかに存在し、その濃度は一定に保たれています。内分泌異常、腎疾患、骨代謝異常などの時に測定します。