放射線系検査・治療
検査・治療
単純X線検査
画像診断センター2では、一般撮影装置5台、頭部専用撮影装置1台、パノラマ撮影用装置1台の計7台の装置でX線検査を行っています。主にフラットパネルディテクター(FPD)を使用したデジタル撮影を行い、被ばく線量の低減を心がけています。
≪検査をお受けになる患者さん、ご家族の皆さまへ≫
- お名前をお呼びするまで検査室へ入室しないでください。
- 妊娠中または妊娠の可能性のある方は検査前に主治医、検査担当技師にお申し出ください。
- 介助のため入室される方は、プロテクターの着用など職員の指示に従ってください。
目的
放射線(X線)を使って胸部や腹部、頭部、全身の骨などの撮影を行います。
方法
目的とする部位にX線を照射し、画像を取得します。
呼吸による動きのある部位では息を止めて撮影をお願いすることもあります。
検査所要時間
撮影する部位により異なります。
胸部、腹部の検査では、数分程度です。
検査前の注意事項
- ネックレス・イヤリング・ピアスなどのアクセサリー類、シャツのボタン・カイロなどは検査の目的となる場所に重なるため診断の妨げになります。
該当品は原則としてはずして頂きます。 - 必要に応じて検査着に着替えていただくことがあります。
マンモグラフィ
目的
マンモグラフィ検査は、X線を用い乳房を撮影します。早期の乳がんによく見られる微細な石灰化を見つけるのに有効です。また悪性のものだけでなく良性の病変も発見することができます。
方法
乳房を上下または左右から圧迫し、薄く平らにした状態で撮影します。 その際痛みを伴うことがありますが、痛みの感じ方には個人差があります。 痛みが耐えられない時は、遠慮なく検査担当技師に伝えてください。
なお検査内容により追加撮影をすることもあります。
画像提供:シーメンスヘルスケア株式会社
検査所要時間
検査室に入って出ていくまでの時間は約10 分です。
検査前後の注意事項
- 更衣は上半身の服はすべて脱ぎ、検査着に着替えていただきます。
- 検査の支障となるアクセサリー等は外し、ラメ入りのローション、制汗剤などを使用している場合はふき取っていただくことがあります。
- 妊娠中または妊娠の可能性のある方は検査前に主治医、検査担当技師に申し出て下さい。
- ペースメーカー、リザーバー等の埋め込み手術や、豊胸手術などを受けられた方は、事前に主治医、検査担当技師に申し出て下さい。
〈乳腺圧迫の必要性〉
乳房を薄く伸ばし、押さえることで乳腺組織の重なりが減るため内部構造が明瞭になり、より細かい病変を発見しやすくなります。
※乳房を薄くするほど被ばく線量を減らすことができますので、ご協力をお願いします。
トピックス
トモシンセシス(断層)撮影が可能なデジタル式乳房用X 線診断装置を導入しています。
これはトモグラフィ(断層)とシンセシス(統一、合成)という意味の言葉を組み合わせた新しい撮影技術です。複数回の撮影により乳房全体の情報を収集し、1mm 厚の画像として表示することが出来ます。従来のマンモグラフィでは、乳腺と病変が重なるため隠れて見えなかった病変を、トモシンセシスでは明瞭に確認することができます。また、腫瘤の辺縁、スピキュラなどの確認も容易に行うことができます。
画像提供:シーメンスヘルスケア株式会社 | マンモグラフィ画像 | トモシンセシス画像 |
X線透視検査
食道、胃、十二指腸、小腸、嚥下造影(VFG)、脊髄腔造影(ミエログラフィー)、ろう孔造影、VCG、ERCP骨折の整復、PEG交換など、X線透視下での検査を必要とするさまざまな依頼に4台のX線透視装置で対応しています。
≪検査をお受けになる患者さんへ≫
- 上部消化管、小腸など検査によっては絶食などの前処置が必要です。主治医の指示をお守りください。
- 妊娠中または妊娠の可能性のある方は検査前に主治医、検査担当技師にお申し出ください。
- 使用する造影剤の種類によっては、アレルギー反応が起こることがあります。主治医が造影剤の使用についてあらかじめ説明し、文書で同意を求めますので、ご了解いただけた場合にはご署名ください。署名した後でも、自由に撤回できますので遠慮せずにお申し出ください。
胃がん検診
目的
特に異常を認めないが健康管理のために行い、胃病変の異常を撮影します。
主な疾患名:がん、粘膜下腫瘍、萎縮性胃炎、潰瘍 、ポリープ、憩室など
方法
造影剤(硫酸バリウム)や発泡剤を飲んでいただき、透視観察しながら撮影していきます。
検査所要時間
約15分です。
検査前後の注意事項
前日21時までに食事を済ませ、当日朝食は絶食です。(健診センターと要相談)
誤嚥を起こしやすい方、体位変換が自力では困難な方は、問診時に必ずお申し出ください。
検査後は、いつもより多めに水分をお取りください。
血管撮影検査・血管内治療
概要
診断血管撮影とは
局所麻酔下にカテーテルという細い管を足の付け根や腕の動脈から血管内に挿入し、リアルタイムに画像で確認しながら目的部位まで進めます。その後、造影剤を注入しながら連続的にDigital Subtraction Angiography(DSA)撮影を行い病気の診断を行う方法です。
DSA撮影の原理
インターベンショナルラジオロジー(Interventional Radiology: IVR)
IVRとは画像診断装置(X線透視、超音波、CT、MRI等)を使用してカテーテルや、穿刺針を用いて施行する治療法のことで、「画像下治療」や「血管内治療」と呼ばれています。IVRは一般的な外科的手術に比べて、傷口も数ミリと小さいことから身体に対する負担を軽減して病気の治療が出来ます。詰まったり狭くなったりした血管を広げる、出血した血管を塞栓して止血する、癌を壊死させる等、治療できる範囲が非常に幅広いのも特徴です。
血管造影装置
当院では正面と側面の2方向から同時に撮影できる最新のバイプレーン撮影装置を3台、シングルプレーン撮影装置(ハイブリッド手術室)を1台備えています。各血管撮影装置は最新の被ばく低減システムにより高画質を保ちながら低被ばくを実現しており、診断血管撮影や血管内治療のために特化したアプリケーションにより、最新の血管内治療に対応しています。
ハイブリッド手術室
ハイブリッド手術室とは、手術台と心・血管X線撮影装置を組み合わせた手術室のことです。従来カテーテル室で施行していた血管内治療が、手術室でより安全でより清潔な環境で行えると共に、手術室と心臓カテーテル室、それぞれ別の場所に設置されていた機器を組み合わせることにより、高度な医療技術に対応します。
血管内治療の実際
脳動脈瘤コイル塞栓術
脳に酸素や栄養を送る血管の一部がこぶ状になる事があり、これを脳動脈瘤といいます。脳動脈瘤が破れると、くも膜下出血を起こすため、出来るだけ早く手術により閉塞させる必要があります。近年この脳動脈瘤に対し血管の中から治療する技術が進歩しています。脳動脈瘤コイル塞栓術とは、カテーテルを動脈瘤の所まで進めていき動脈瘤の中からプラチナコイルという特殊な金属を詰め込むことで破裂を防ぐ治療です。
急性期脳梗塞の頭蓋内血管再開通療法
頭蓋内血管再開通療法は、目的の血管の所までカテーテルをはこび、血管に詰まった血栓を吸引し除去するカテーテルや、絡め取る特殊なステント(金属製の筒)を使用して血栓を取り除く事で、血流の改善を図る治療です。
経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous transluminal coronary intervention: PCI)
PCIは、バルーンと呼ばれる特殊な風船のついたカテーテルや、ステントを使って心筋梗塞の原因となる狭くなった心臓の血管を広げ、血流を改善させる治療です。
肝動脈化学塞栓術(trancecatheter arterial chemoembolization: TACE)
TACEは肝腫瘍に対する代表的な治療法の一つです。腫瘍に酸素や栄養を送る血管の近くまでカテーテルを進め、抗癌剤や塞栓物質を入れ、血流を遮断し、腫瘍を壊死させることを目的とする治療です。
大動脈瘤に対するステントグラフト留置術
大動脈にできた動脈瘤をステントグラフトという金属の骨格構造を持つ特殊な人工血管を使用して動脈瘤に蓋をします。ステントグラフトを大動脈瘤の内側で拡張させ血液が流れるトンネルとして留置することで、大動脈瘤にかかる圧力を減らす治療です。
出血に対する血管塞栓術
IVRによる止血は、カテーテルを出血場所付近に正確に進め、血管の中から血を止めます。末端の細い血管からの出血ならば、ゼラチンでつくった小さな粒か、金属コイルをカテーテルから入れて出血している所にフタをして止血する治療です。
またIVRによる止血は外傷に対するものだけではなく、腫瘍・血管奇形・動脈瘤などからの出血、消化管出血、喀血、術後出血などに対しても行われ、外傷分野以外でも出血に対する治療におけるIVRの位置づけは日増しに高まってきています。
経皮的シャント拡張術
経皮的シャント拡張術は、狭くなった透析シャントを、バルーンを用いて広げて血流を改善させる治療です。
閉塞性動脈硬化症に対する血管形成術
狭くなった血管を、バルーンやステントを用いて広げて、血流を改善させる治療です。
CT検査
検査の概要
CTとは、コンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography)の略語です。
身体にX線を照射し、透過したX線量の差をデータとして集め、コンピュータで処理することによりさまざまな角度の画像や3D画像を作成することができます。
さまざまな目的で全身を検査しますが、特に脳内出血、肺の病気、お腹の病気、骨折の検出などに有効です。
方法
- 検査台に寝て頂いて撮影を行います。
- 検査部位によっては息を止めて頂いて撮影を行います。
- 検査目的により造影剤を注射させて頂く場合があります。
造影剤を注射すると体が熱く感じることがありますが、問題はありません。
使用後気分が悪くなった時には迅速に対応する体制を整えておりますので、安心して検査をお受け下さい。
検査所要時間
5~20分程度です。
検査前後の注意事項
<検査前>
- 造影剤を使用する検査を受けられる方は、医師から指示のある場合は食べ物を摂らないでください。
水やお茶などは飲水可能ですが、牛乳や固形物の入っているものは避けてください。 - 妊娠中又はその可能性のある方、植込み型除細動器または心臓ペースメーカーを装着されている方は、事前にお知らせください。
- 必要に応じて検査着に着替えて頂きます。
- 撮像する部位に金属がある場合は、可能であれば外して頂きます。
(頭頚部の検査の場合:ヘアピン・ピアス・ネックレス・入れ歯・カツラ等、胸腹部の検査の場合:ブラジャー・金属のボタン・ジッパー・ホック・ボディピアス等)
<検査中>
- 検査中は体を動かさないようにお願いします。
<検査終了後>
- 食事や入浴の制限はありません。
- 造影剤を注射された方は、造影剤の排泄を促すために水分を多めにとって下さい。
造影剤を使用した場合、気分不快や発疹など様々なアレルギー反応が起こる場合があります。検査終了後30分程度検査室前にて経過観察させて頂く場合もあります。帰宅中、帰宅後にこのような症状があった場合は、当院の救急外来にご連絡・受診ください。
心臓CT
目的
心臓カテーテル検査のように、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈を主に調べる検査です。
方法
- 検査台の上に仰向けに寝て、心電図を装着して撮影を行います。
- 15秒程度の息止めを数回行います。
- 冠動脈を評価しやすくするため、通常は血管を拡張させるニトロ舌下錠を使用します。
- ⼼拍数の⾼い⽅には、βブロッカーという⼼拍数を下げるお薬を内服していただきます。1錠内服してから心拍数が下がるまで安静にして約1時間お待ちいただきます。βブロッカーの内服は最大2錠としております。
- 造影剤を注射すると体が熱く感じることがありますが、問題はありません。 使用後気分が悪くなった時には迅速に対応する体制を整えておりますので、安心して検査をお受け下さい。
検査所要時間
20分程度です。
検査前後の注意事項
<検査前>
- 医師から指示のある場合は食べ物を摂らないようにお願いします。
水やお茶などは飲水可能ですが、牛乳や固形物の入っているものは避けてください。 - 妊娠中又はその可能性のある方、植込み型除細動器または心臓ペースメーカーを装着されている方は、事前にお知らせください。
<検査中>
- 息止めが非常に重要な検査です。 合図に合わせてしっかりと息を止めて下さい。
- 検査中は体を動かさないようにお願いします。
<検査終了後>
- 食事や入浴の制限はありません。
- 造影剤の排泄を促すために水分を多めにとって下さい。
造影剤を使用した場合、気分不快や発疹など様々なアレルギー反応が起こる場合があります。帰宅中、帰宅後にこのような症状があった場合は、当院の救急外来にご連絡・受診ください。
大腸CT(CTコロノグラフィー)
目的
CT装置で大腸を撮影し、コンピュータ処理によって実際に内視鏡でのぞいているような画像を作成し、大腸の癌やポリープ、 腸管の狭窄・癒着などを調べる検査です。
方法
- 食事制限などの前処置により腸の中をきれいにします。
- 検査着に着替えて、検査台に寝て頂きます。
- 肛門よりチューブを挿入し、炭酸ガス自動送気装置により大腸を拡張させます。
検査中は注入されたガスでお腹が張りますが検査終了後はすみやかに改善します。 - 通常うつ伏せと仰向けにて息を止めて頂き、撮影を行います。
検査所要時間
20分程度です。
検査前後の注意事項
<検査前>
- 腸の中をきれいにするため食事制限などの前処置を行います。
- 妊娠中又はその可能性のある方、植込み型除細動器または心臓ペースメーカーを装着されている方は、事前にお知らせください。
<検査中>
- 検査中は体を動かさないようにお願いします。
<検査終了後>
- 食事や入浴の制限はありません。
脂肪測定CT
目的
メタボリック・シンドロームの評価を目的として行う検査です。
おへその高さで断面像を撮影し、皮下脂肪の厚み、腹腔内脂肪の断面積や分布を調べます。
方法
- 必要に応じて、検査着に着替えて頂きます。
- 撮影部位に締め付けがないようにして頂きます。
- 検査台に寝て頂いて撮影を行います。
- 10秒程度息を止めて頂いて撮影を行います。
検査所要時間
5~10分程度です。
検査前後の注意事項
<検査前>
- 妊娠中又はその可能性のある方は、事前にお知らせください。
<検査中>
- 検査中は体を動かさないようにお願いします。
CTアンギオグラフィー
目的
造影剤を速い速度で静脈から注入して、カテーテル検査のように体中の動脈を描出する検査です。
方法
- 必要に応じて、検査着に着替えて頂きます。
- 撮像する部位に金属がある場合は可能であれば外して頂きます。
(頭頚部の検査の場合:ヘアピン・ピアス・ネックレス・入れ歯・カツラ等、胸腹部の検査の場合:ブラジャー・金属のボタン・ジッパー・ホック・ボディピアス等) - 検査台に寝て頂いて撮影を行います。
- 検査部位によっては息を止めて頂いて撮影を行います。
- 造影剤を注射します。造影剤を注射すると体が熱く感じることがありますが、問題はありません。
使用後気分が悪くなった時には迅速に対応する体制を整えておりますので、安心して検査をお受け下さい。
検査所要時間
20分程度です。
検査前後の注意事項
<検査前>
- 医師から指示のある場合は食べ物をとらないようにお願いします。 水分はとって頂いて結構ですが、牛乳や固形物の入っているものは避けてください。
- 妊娠中又はその可能性のある方、植込み型除細動器または心臓ペースメーカーを装着されている方は、事前にお知らせください。
<検査中>
- 検査中は体を動かさないようにお願いします。
<検査後>
- 食事や入浴の制限はありません。
- 造影剤の排泄を促すために水分を多めにとって下さい。
造影剤を使用した場合、気分不快や発疹など様々なアレルギー反応が起こる場合があります。帰宅中、帰宅後にこのような症状があった場合は、当院の救急外来にご連絡・受診ください。
CTガイド下生検/ドレナージ
目的
CTガイド下生検とは、治療方針を決定するためにCT画像を確認しながら病変部の組織を採取して組織診断を行う検査です。また、CTガイド下ドレナージとは、体内に発生した膿瘍(細菌などに汚染された液体)を体外へ排出すためにCT画像を確認しながら病変部にチューブを挿入する検査です。どちらの検査もCTを用いることで安全性と確実性が高まります。
方法
- 検査着に着替えて頂きます。
- 撮像する部位に金属がある場合は可能であれば外して頂きます。
(頭頚部の検査の場合:ヘアピン・ピアス・ネックレス・入れ歯・カツラ等、胸腹部の検査の場合:ブラジャー・金属のボタン・ジッパー・ホック・ボディピアス等) - 病変部の場所により、検査台に仰向けやうつ伏せまたは横向きで寝て頂いて撮影を行います。
- 息を止めて頂いて撮影を行います。
検査所要時間
60~90分程度です。
検査前後の注意事項
<検査前>
- 通常は、入院をしていただいて検査を行います。
- 血液を固まりにくくする薬を服用されている方は、前もって一時的な中止が必要ですので主治医に相談してください。
- 妊娠中又はその可能性のある方、植込み型除細動器または心臓ペースメーカーを装着されている方は、事前にお知らせください。
<検査中>
- 検査中は体を動かさないようにお願いします。
<検査後>
- 通常検査後2-4 時間の安静が必要です。
- 経過観察のためにX線写真やCT などの画像検査を施行する場合もあります。
- 食事や入浴は病状によります。医師の判断で開始になります。
MRI検査
MRI検査
検査の概要
MRIとは、Magnetic Resonance Imagingの頭文字をとった略語で、電磁石と電波を利用した画像診断法です。患者さんには、強力な磁石でできたトンネル状の装置の中に入っていただき、電波を当てることにより画像データを得ます。画像は、任意の断層面が得られ、放射線被ばくがないのが特徴です。
当院には画像診断センター1と画像診断センター3にそれぞれ2台、合計4台(3T装置3台、1.5T装置1台)のMRI装置が設置されています。
画像診断センター1 PHILIPS Elition 3.0T(左) PHILIPS Ingenia 3.0T CX (右) |
画像診断センター3 Canon Vantage Titan 3.0T (左) Canon EXCELART Vantage 1.5T (右) |
頭部 (図1:脳梗塞)、脊椎(図2:腰椎ヘルニア)、胸部(図3:乳がん、図4:心臓)、骨盤 (図5:前立腺がん)、腹部(図6:MRCP、図7:肝細胞がん)、四肢などの様々な部位の病変の検出に優れています。
MRAとは、Magnetic Resonance Angiographyの頭文字をとった略語です。低侵襲に脳動脈瘤などの有無を含め、全身の血管を描出します。造影剤を用いないことを基本としますが、造影剤を用いることもあります。(図8)
所要時間
検査部位や検査内容によって異なりますが、概ね以下のとおりです。
頭部:15分~30分
脊椎:20分~30分
乳腺:30分
心臓:30分~60分
腹部:20分~40分
骨盤:20分~40分
四肢:20分~30分
検査を受ける前に
- 心臓ペースメーカや除細動器を埋め込まれている方は検査を受けることができません。ただし、条件付きでMRI検査ができるペースメーカもあります。くわしくは、「条件付きMRI対応心臓ペースメーカとMRI検査」をご参照ください。
- 頭部動脈瘤のクリッピング、血管内ステントなどの金属物質が体内に留置されている方は検査を受けられないことがあります。体内に金属物質を入れている方は事前に医師にご相談ください。
- 金属(ヘアピン、はさみ、鍵など)や磁気記録媒体(クレジットカード、キャッシュカードなど)、電子機器(時計、携帯電話、歩数計、血糖値測定用センサーなど)は検査室に持ち込めません。また眼鏡、補聴器、取り外しのできる義歯、エレキバン、金属のついた下着、カラーコンタクトレンズ、膀胱留置カテーテルのマグネットタイプのキャップなども事前に外していただきます。ネイルアート(ジェルネイル,マグネットネイル)は、変色や脱落、発熱の恐れがあります。除去した状態で検査にお越しください。
- MRI検査で被ばくはしませんが、妊娠中の方あるいは、妊娠の可能性のある方はお申し出下さい。
- 閉所恐怖症の方は事前に医師にご相談ください。
- 胆嚢・胆管や膵臓を対象とした検査では検査3時間前から飲食を控えていただきます。ただし、消化管内視鏡検査など他の検査をあわせて行う場合には、他検査についての注意事項を守ってください。
検査の実際
- ストレッチャーや車いすの患者さんは検査室の前で検査台に移動して頂きます。
- 通常は検査台に仰向けに寝て、ベルトで体を固定した後、トンネルの中に入って頂きます。検査によっては(例えば乳腺のMRI検査) 腹ばいになって頂くこともあります。検査中はできるだけ動かないでください。
- 検査中は大きな音が響きますが、機械の音ですので安心してください。検査中は耳栓やヘッドホンをして頂きます。
- MRIにはインターフォンが内蔵されています。何か不都合がありましたら寝たままでお話しください。
また、ブザーもお渡ししますので安心してください。
検査後の注意
造影剤を使用した場合、気分不快や発疹など様々なアレルギー反応が起こる場合があります。検査中に何か異常がありましたら検査担当者にお話しください。また帰宅中、帰宅後にこのような症状があった場合は、当院の救急外来にご連絡・受診ください。
条件付きMRI対応心臓ペースメーカとMRI検査
心臓ペースメーカは精密な電子機器であり、ペースメーカを体内に埋め込んだ方は、MRI検査を受けていただくことができませんでした。最近では、MRI検査を行うことができるタイプのペースメーカが登場し、利用可能になりました。当院は関係する学会が定めた施設基準を満たしており、安全に検査を行っていただくことができます。
ただし、「条件付き」とあるように、MRI対応であっても、そのままMRI検査を受けることはできません。MRI検査を依頼する医師は、MRI検査と胸部レントゲンを依頼し、循環器内科・ペースメーカ外来の受診を予約いたします。MRI検査前に、対応型であることを所定の手続きで確認し、検査直前にはMRI検査モードに切り替えます。また、MRI検査が終わったあとは、ペースメーカを通常モードに戻し正常に動作することを確認させていただきます。このように、MRI検査前後にペースメーカの調整を行わせていただく必要があります。
検査当日の手順や流れについては、検査予約の際にお渡しする「患者さんへの説明文書」をご覧ください。検査予約や検査を受けていただくときには、ペースメーカ手帳や登録カードを確認させて頂きますので、ご持参ください。また、MRI対応型であっても、製品によっては撮像範囲や撮像法に制限があるため、目的とするMRI検査が行えない、あるいは得られる情報が限定されることもあります。
核医学
検査の概要
核医学診療ではPET/CT検査、核医学検査および核医学治療を行っています。核医学検査は検査目的に応じて最適な微量の放射線を放出する検査薬(放射性医薬品)を静脈注射などで投与します。体内に取り込まれた放射性医薬品から放出される放射線を専用のカメラで観察することで、臓器の形の異常だけでなく、臓器の働きの異常も診断することが出来ます。
検査の概要
- 検査の内容により注意事項が異なります。検査説明書に検査前および検査当日の注意事項を記載しておりますので必ずお守りください。
- 妊娠中、妊娠の可能性がある、授乳中の方は、検査前に主治医まで申し出てください。
- 被ばく線量は検査によって異なりますが、被ばくによる人体への影響がでる量ではありません。
核医学検査
核医学検査とは、微量の放射性医薬品を体内に注射し、専用のカメラ(SPECT(スペクト)装置)で撮像することによって病気を診断する検査です。
当院では、GE社製SPECT装置 NM830を2台設置しています。
通常では見ることができない、血流の状態、細胞の代謝や神経伝達の程度を画像化することができます。病気の種類によって使用する放射性医薬品が異なり、当院では、2台のSPECT装置で20種類以上もの様々な検査が行われています。代表例を紹介します。
脳血流シンチグラフィ
脳の血流量を画像化し、脳血管障害や認知症の診断に有用な検査です。近年、アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の診断が増加しています。
左内頸動脈狭窄症 | アルツハイマー型認知症 |
線条体シンチグラフィ
この検査は、パーキンソン病やレビー小体病の診断に用いられます。画像は正常例です。
脳脊髄液シンチグラフィ
脳脊髄液減少症の診断に有用な検査の一つです。脳脊髄液の微量な漏れを発見することが可能です。検査は2日間かかります。
負荷心筋血流シンチグラフィ
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の診断に有用な検査です。運動や薬剤による負荷時と安静時の心臓の血流状態を比較します。
骨シンチグラフィ
骨シンチグラフィとは、骨の代謝の状況を調べる検査です。骨転移等で生じる骨の病態の診断をします。画像は脊椎、肋骨、骨盤等に特異的な集積が認められます。
リンパ管シンチグラフィ
リンパ管シンチグラフィとは、リンパ流の動態診断が可能な検査です。
下肢リンパ流は総腸骨領域まで左右対象に正常に描出されています。(画像)
核医学治療
核医学治療とは、治療用の放射性医薬品を注射(内服も)し、体内から放射線による治療のことです。
当院では、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、前立腺がんの骨転移治療を行っています。
放射線治療
治療の概要
放射線治療は、手術療法、薬物療法とともに、がんに対する有力な治療法のひとつです。
高エネルギーの放射線を病巣に集中して照射することで、臓器の機能を温存した治療(患部を切除しない治療)が可能です。さらには、治療装置自体やコンピュータの発達により、放射線治療の高度化が進み、がんを有効に治療しながら、周囲の正常組織に対しては出来るだけ影響を及ぼさないような工夫も行われています。
当院は放射線治療計画装置(治療専用のコンピュータ)による緻密な治療計画のもと、2台の放射線治療装置(ラディザクトとトゥルービーム)を用いて治療を行っています。放射線治療は治療中の痛みや身体への負担が少なく、他の病気などで手術ができない患者さんや、ご高齢の患者さんに対しても治療できる場合があります。また、外来通院で治療を行うことも可能です。
ラディザクト | トゥルービーム |
ラディザクトによる外部照射
当院は2022年に、IMRT(強度変調放射線治療)を得意とした装置「ラディザクト」を中国地方では初めて導⼊いたしました。
ラディザクトは通常の放射線治療装置とは異なり、⾒た⽬は診断⽤CTのようなドーナツ型をしています。そのドーナツ型の輪(ガントリー)の中に治療⽤のX線を発⽣させる直線加速器(リニアック)と画像を取得する装置が搭載されています。寝台がガントリーの中を進むと同時に、360°⽅向から放射線を照射することによりIMRT(強度変調放射線治療)を⾏います。これにより、一般的な放射線治療装置の3倍以上の範囲に、線量集中度の⾼い治療を提供することが可能となりました。また、患者さんの呼吸に合わせて腫瘍を追いかけながら治療を行うことが可能なオプション(シンクロニー)も搭載していますので、より患者さんに負担の少ない治療が可能となりました。
画像提供:アキュレイ株式会社 |
トゥルービームによる外部照射
2023年には、頭から⾜先まで全⾝のあらゆる領域の治療が可能な放射線治療装置「トゥルービーム」を導入いたしました。トゥルービームは高エネルギーのX線や電⼦線を発⽣させて治療を⾏う⼀般的な放射線治療装置です。通常の放射線治療はもちろんですが、⾼精度放射線治療(頭部定位放射線治療や体幹部定位放射線治療などのピンポイント照射、IMRT:強度変調放射線治療)も実施可能な装置です。また以前の装置に比べ短時間で治療を行うことができるため、患者さんに負担の少ない治療を提供することが可能となりました。
頭部定位放射線治療 画像提供:(株)バリアンメディカルシステムズ |
PET/CT検査
PET/CT(ペット/シーティ)検査は、いろいろな病気の診断に有⽤な検査で⽇本では2000年ころから急速に普及してきました。当院では、2006年からFDG(エフ・ディ・ジー)という診断薬を使ったPET/CT検査を⾏っています。FDGを使ったPET/CT検査は、早期胃がん以外のがんに有⽤であり、がんの発⾒、がんの進⾏や転移の程度、また治療の効果判定に有⽤な検査です。
当院では、2023年10月にPET/CT装置を半導体PET/CT装置「Cartesion Prime / Luminous Edition」(キヤノンメディカルシステムズ社製)に更新いたしました。
岡山県で初めて導入された半導体PET/CT装置は、従来装置に比べて放射線の効率的な検出が可能となり、画質が飛躍的に向上しました。また、従来のPET/CT装置より感度が向上し、検査時間の短縮及び、被ばく低減が可能となりました。FDGを使ったPET/CT検査は、頭頂部から⼤腿中央部までの全⾝検査を⾏っています。病気の種類によっては頭頂から⾜先まで検査を⾏います。検査は核医学専⾨医、PET認定医師と核医学専⾨技師、PET認定技師が協⼒して質の⾼い検査と診断を⾏っています。
●ファントム撮影によるPET/CT装置の比較
1分の撮影において、半導体 PETでは10 mmの集積(最小集積)が明瞭に描出されている。
●左乳癌の症例
左乳房の数カ所に異常集積を伴う結節性病変をPET/CT検査で認める。
●乳癌による左腋窩リンパ節、肝転移
非同期画像では、肝臓にある集積は呼吸変動による影響で明瞭に描出することができていない。
対してデバイスレス呼吸同期画像 Auto-gatingでは明瞭に描出することができる。
アミロイドPET/CT検査
アルツハイマー型認知症では、発症する前から脳内にアミロイドβが沈着していると考えられ、アミロイドPET検査では、このアミロイドβの脳内沈着を画像として捉えることが可能となります。当院では、2024年2月よりアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症が疑われる方に対して、レカネマブ(遺伝子組み換え)製剤の投与の要否を判定する目的で検査を行っています。
PET/CTがん検診は当院で
PET/CT検査は、従来の超音波、CT、MRIや造影検査とは異なり、FDGというブドウ糖代謝が「がん」で増加するという新しい切り口を利用して「がん」の検診を行います。
そのため、従来の方法では分からない「がん」が見つかることがあります。
PET/CTがん検診が有用な「がん」は
肺がん・悪性リンパ腫・乳がん・転移性肝がん・膵がん・大腸がん・原発不明がん・食道がん・頭頸部がん・悪性黒色腫・子宮がん・卵巣がん などです
保険診療として認められているがんは、早期胃がんを除く、全ての悪性腫瘍ですが、細胞の種類や大きさなど、見つけにくい場合もあり万能の検査法ではありません。特にFDGが正常でも集まる部位(脳、腎臓、膀胱、肝臓、心臓など)やFDGが集まりにくい性質のがんは苦手で見つけにくいと考えます。
PET/CTがん検診の利点は
- 「がん」以外の予期せぬ病変(たとえば甲状腺の病気など)が発見されることがあります。
- 全身の「がん」の検索が1回の検査で可能です。
- 検査は、1.5~2時間かかりますが、1回の注射だけであり、苦痛や不安感はありません。
当院は、平成18年12月からPET/CT検査を開始しています。
1. PET/CT装置2台が稼動しており、ゆったりと静かな環境で検査が行われています。
2. ていねいな検査(早期像と必要時には後期像の2回を撮影)を心掛けています。
3. 核医学専門医、PET認定医師と核医学専門技師、PET認定技師が協力して質の高い検査と診断を行っています。
≪検査をお受けになる患者の皆さまへ≫
- 核医学検査に用いる検査薬は、有効期限が極めて短いので、検査の解約は検査日の前日までにお願いします。
- 妊娠中または妊娠の可能性のある方は、あらかじめ主治医にご相談ください。
- PET/CT検査では検査薬(18F-FDG)を目的部位に集中させるために、検査開始前の約5時間の絶食と、静脈注射後の安静が必要です。また、糖尿病や飲食による高血糖状態(150mg/dl)では、良好な検査結果が得られない可能性がありあすので、場合によっては検査中止となります。
人間ドック PET/CTがん検診
骨塩定量検査
骨密度の測定を行います。骨密度は、骨粗鬆症の診断、骨折リスクの評価、薬物治療効果の判定などに用いられます。当院では、標準測定部位である腰椎と⼤腿⾻近位部(股関節)の他に前腕骨や全身骨の測定も可能です。
方法
二重エネルギーX線吸収測定法(DXA法)を用いたX線骨密度測定装置を使用しています。DXA法とは、X線が物質内で減少する比率が物質の密度に依存することを応用して骨の密度を測定する検査です。⽬的とする部位にX線を照射し、得られた画像から骨密度を求めます。
X線⾻密度測定装置(Horizon A)
骨質(海綿骨構造指標:TBS)の評価
当院では、骨密度だけではなく骨質の評価が可能です。骨強度は骨密度70%と骨質30%で規定されます。⾻粗鬆症は骨強度が低下する疾患であり、TBSを組み合わせることで骨密度と骨質の両面から評価することでより正確な⾻粗鬆症診断が可能です。
検査所要時間
腰椎と⼤腿⾻近位部(股関節)の検査時間は約10分です。
全身骨を追加撮影する場合は約20分です。
撮影中は動かないでください。
検査前の注意事項
- ネックレス・イヤリング・ピアスなどのアクセサリー類、シャツのボタン・カイロなどは検査の⽬的となる場所に重なるため診断の妨げになります。該当品は原則としてはずしていただきます。
- 必要に応じて検査着に着替えていただくことがあります。