放射線治療を軸とし、手術・化学療法の併用も考慮しながら、悪性腫瘍の集学的治療を行います。
特徴・特色
脳腫瘍、頭頸部がん、乳がん、肺がん、食道がん、前立腺がん、膀胱がん、悪性リンパ腫など、多くの腫瘍に根治的治療を行っています。高精度放射線治療を行っているほか、陽子線治療施設との連携も行っています。
当院では1987年に乳房温存療法を開始して以来、これまで2,500名以上の患者さんが同治療を受けられました。2003年からは、より短期間で同等の治療効果が得られる寡分割照射を導入し、こちらもすでに1,200名以上の患者さんが受けられており、国内における先行施設のひとつであります。乳房温存術後の大半の方が寡分割照射を受けられています。
また、根治治療だけでなく、緩和治療にも積極的に取り組んでおり、患者さんの生活の質(QOL)に配慮した治療を提供しています。とくに転移性脊椎腫瘍に対するリエゾン治療チームとしての取り組みは、全国的にも注目されています。
2022年6月に中国地方の病院で初めてラディザクトが稼動しました(図1)。強度変調放射線治療、画像誘導放射線治療、定位放射線治療などの高精度放射線治療を高レベルで施行可能です。このシステムを用いて中国・四国地方で初めて追尾照射を開始しました。肺がんで追尾照射可能な場合には行っています。
(図1)
2023年6月にトゥルービームが稼動しました(図2)。トゥルービームは短時間で多くの放射線を投与することができ、高精度放射線治療、息止め照射や迎撃照射が可能なオールマイティな機器です。2台の特徴の異なる機器によって、多種多様な放射線治療を患者さんに提供でき、幅広い病態に対応可能です。
(図2)
以下、ラディザクトの線量分布を提示します。
皮膚腫瘍に対する治療です。つなぎ目がなく皮膚に均一に治療可能です。内部の脳に高い線量が照射されず、くり抜くように治療できます(図3)。(図3)
上咽頭がんに対する治療です。上咽頭に集中しつつ、耳下腺や脊髄への線量を低減しています(図4)。
(図4)
早期肺がんに対する治療です。肺病変に集中し照射できます(図5)。
(図5)
前立腺がんに対する治療です。前立腺に集中しつつ直腸や骨への線量を低減しています(図6)。
(図6)直腸がんの手術前の治療です。直腸と所属リンパ節にそれぞれ均一に照射しつつ、膀胱や骨の線量を低減しています(図7)。
(図7)子宮がんの手術後の治療です。所属リンパ節に均一に照射しつつ、膀胱や骨、直腸の線量を低減しています(図8)。
(図8)胃の悪性リンパ腫に対する治療です。胃に照射しつつ、肝臓と左腎臓への線量を低減しています(図9)。
(図9)全身照射では汎用機のリニアックより広い範囲に強度変調をかけた高精度放射線治療を⾏い、全身に均⼀に照射しつつ肺や腎臓の線量を低減しています(図10)。
(図10)
先進的な機器を使用して患者さん、地域社会により高いレベルのがん治療の提供を目指してまいります。
診療部長・責任者
- 部長(教授) 勝井 邦彰 Kuniaki Katsui
認定医・専門医・指導医
日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本医学放射線学会研修指導者、日本専門医機構認定放射線科専門医
- 出身大学
- 島根医科大学 H9.3 卒業
主な対象疾患
外照射(ラディザクトによる高精度放射線治療)
- 根治的療法
- 脳腫瘍、舌がん、喉頭がん、咽頭がんをはじめとする頭頸部腫瘍、肺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がん、肛門がん、膀胱がんや悪性リンパ腫、皮膚がん、造血器腫瘍など
- 強度変調放射線治療(IMRT)
- 頭頸部腫瘍、前立腺がん、肺がん、子宮がん術後、食道がんなど
- 定位放射線治療
- 肺がん、肝がんなど
- 術前・術後照射
- 脳腫瘍、頭頸部腫瘍、乳がん、肺がん、食道がん、子宮がん、前立腺がん、直腸がん、軟部(筋肉・脂肪・骨)腫瘍、皮膚がんなど
- 対症療法
- 骨転移、脳転移など
関係する症状
かかりつけの先生から、紹介していただいて受診してくださると助かりますが、悪性腫瘍と診断されて色々とお悩みの場合や、治療に関するセカンドオピニオンについての相談などでも、お気軽に受診してください。
専門診療・専門外来
悪性腫瘍の治療に関するセカンドオピニオン外来を開いています。悪性腫瘍の治療法には手術、放射線治療、化学療法があります。われわれは放射線治療を軸とした集学的療法に取り組んでおります。放射線治療を受ける、受けないにかかわらず、治療方法でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
実績
2022年度
患者数(延べ) | 外来患者数 | 10,740人 |
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