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貧血

更新日:2019/10/15

貧血の基礎知識

貧血とは、皆さんが普段受けている血液検査で、ヘモグロビン濃度が基準値より下回っている場合をいいます。
具体的には、成人男性で13g/dL未満、成人女性で12g/dL未満、妊婦さんや高齢者では11g/dL未満が目安と考えていいでしょう。
よって、皆さんがイメージされることが多い
「目の前が暗くなって、気分が悪くなって倒れそうになる」といった症状は、必ずしも貧血とはいえないのです。

貧血_アイコン

この症状は、医学的には「神経調節性失神」である場合が多く、時に「脳貧血」とよばれることもあるようです。
また、貧血というと病名になってしましますが、実際には様々な疾患(病気)の結果として表面に表れてくるものです。すなわち貧血の背景には、必ず何らかの疾患があり、その原因疾患を見つけ出すことが、貧血の診療において最も重要なポイントとなります。

診察では、「あっかんべー」をするような動作で眼瞼結膜を確認して貧血であるかを診ることがあります。
内科診断学の基本ではありますが、ヘモグロビン濃度が9.5g/dL未満まで低下しないと気づきにくいので、やはり貧血の診断には、採血をして血液検査を受けることが必要です。

成人女性に多い鉄欠乏性貧血


成人の貧血として最もよくみられる疾患が、鉄欠乏性貧血です。
他の貧血と比べて比較的特徴のある症状をあげると、

・朝にひどく夕方からよくなる倦怠感
・脱力感
・冬なのに冷たいものが欲しくなる
・足がむずむずする         などがあります。

成人男性の鉄の必要量は1日1mgですが、成人女性は月経、あるいは妊娠・分娩・出産というライフイベントに伴い、男性より多くの鉄をとることが必要です。
たとえば、月経のある女性では、経血により0.5~0.8mg/日に相当する鉄を喪失していることになるので、その分鉄を多く摂取しないとやがて鉄欠乏になってしまいます。
鉄欠乏が進行し、ひとたび鉄欠乏性貧血に陥ると食事だけでは容易には回復できず、鉄剤の内服投与が必要になります。
血液検査では、鉄欠乏性貧血になる前の段階である血欠乏状態を、血清フェリチンを測定することで発見できます。

貧血の様々な原因

1個の赤血球は、寿命である120日の間に血管内を500km旅して、心臓から全身を17万回循環するといわれています。
赤血球の中身の約9割はヘモグロビンで、ヘモグロビンに結合した酸素を全身に届ける役割をしています。
このヘモグロビン濃度が低下するのが貧血で、原因として鉄欠乏性貧血が一番多いことをお話してきました。

貧血1


しかし、貧血の原因は鉄欠乏性以外にもたくさんあります。
簡単にお話をしますと、
・輸血を必要としない貧血
・輸血が必要で血液内科での専門的な治療が欠かせない貧血 に分かれます。

輸血を必要としない貧血


まず、輸血を必要としない貧血の方が多く、わが国では20~50歳女性のや有20%が鉄欠乏性貧血なので、
2000万人×0.2の400万人もいることになります。
また、関節リウマチなどの慢性炎症に伴う貧血も多く、70万人程度はいると想定されます。
更に、赤血球を作る造血ホルモンは腎臓でつくられるので、満船腎障害に伴う貧血も、透析患者さんの数から推定すると30万人程度はいるでしょう。

輸血を必要とする貧血


輸血を必要とする貧血はどうでしょうか。
これらは骨髄不全症ともいわれ、骨髄異形成症候群が1万人、再生不良性貧血が0.5万人程度です。
よって輸血を必要としない貧血に比べると圧倒的に少ないといえます。

健診で貧血が見つかった場合は、そのままにせず受診してください。
原因を調べて、それに合った治療を受けていただくことが最も重要です。





K-style vol.56 2019秋号より
K-style60

執筆者

部長(教授) 和田 秀穂 Hideho Wada
専門分野 血液学、輸血・細胞治療学、HIV感染症、溶血性貧血

認定医・専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本血液学会認定血液専門医・指導医、日本輸血・細胞治療学会認定医・細胞治療認定管理師、日本感染症学会感染症専門医・指導医・認定ICD、日本性感染症学会認定医、日本エイズ学会認定医・指導医、身体障害者指定医師(免疫機能障害)

出身大学
川崎医科大学 S59.3 卒業

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