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皮脂欠乏症とは

更新日:2022/10/15

皮脂欠乏症(ドライスキン)の発症メカニズムと治療

 ここでは寒くなってくると発症しやすくなる皮脂欠乏症(ドライスキン)の発症メカニズムと治療について紹介します。
 私たちの肌は外界からアレルゲンなどの物質が侵入しないようにバリア機能を持っています。皮膚のバリア機能は最外層にある角質細胞層の水分が少なくなると低下します。
 水分は、皮膚、特にその外側の層である角質層(SC)が正常に機能するために必要なものです。
皮膚から水分が失われても回復するための機能はSCの働きに依存しています。SCの水分の保持は、3つの主要な要素が行います。 (1)角質細胞内の天然吸湿剤(天然保湿因子と総称される)の存在、 (2)SC細胞間脂質、および(3)基礎
発汗です。SCの水分量は、SCの適切な成熟と皮膚の新陳代謝のために必要で、水分量が低下すると乾燥したカサカサの肌が目に見えるようになり、ドライスキンが出現します。

なぜかゆくなるのか?

  慢性的なかゆみは、アトピー性皮膚炎、糖尿病や腎臓病といった病的な理由で乾燥した皮膚に生じる症状です。最近の研究成果から、乾燥肌によるかゆみは抗ヒスタミン薬(内服のかゆみ止め)が効かないかゆみであると考えられるようになっています。それでは、どうしてかゆくなるのでしょうか。
 健康な皮膚では、主にケラチノサイトが皮膚の表面に神経の先端が入らないように調整をしています。急に空気が乾燥した時期には皮膚が乾燥します。乾燥した皮膚のケラチノサイトが神経成長因子を分泌して、皮膚感覚神経線維が表皮の中まで伸びてくるのでかゆみを感じやすくなります。
この段階での症状緩和には、保湿剤によるスキンケアが有効です。基礎疾患として、糖尿病や腎疾患があったり、アトピー性皮膚炎といった治りにくい皮膚炎があったりすると、乾燥しかゆみを起こします。かゆみ-ひっかきサイクルを伴う慢性乾燥肌では、より多くの感覚神経線維が表皮に侵入していますので、皮膚科を受診して皮膚炎を治す治療を スキンケアと併用して行うことが必要です。

ドライスキンは予防できますか?

  毎年10月頃に気温が下がると、空気が乾燥します。また暖房を入れるようになると室内の空気は乾燥します。そのため、かゆくなる前に、乾燥しやすい四肢や顔に、保湿剤を塗布することが必要です。特に、エアコンを使用しているご家庭では、エアコンの除湿作用により室内の湿度は外気より低下しますので、スキンケアが必要です。まず、ドラッグストアで購入できる保湿クリームを毎日入浴後に使用してください。慢性皮膚疾患のある方は、かかりつけの皮膚科クリニックで皮膚炎の治療を受けることをお勧めします。

皮脂欠乏症チェックリスト

執筆者

部長(教授) 青山 裕美 Yumi Aoyama
専門分野 自己免疫性水疱症、薬剤アレルギー、脱毛症、白斑、アトピー性皮膚炎、発汗障害

認定医・専門医・指導医 日本皮膚科学会皮膚科専門医

出身大学
岐阜大学 H1.3 卒業

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