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熱中症の予防について

熱中症予防について

 「暑熱順化」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?暑い環境に体を慣らしていくことを言います。寒い冬を乗り越えてきた体を、今度は夏仕様に整え、少しずつ暑い環境に対応できる身体作り、環境作りをしていきましょう。

暑熱順化の方法
□ お風呂は湯船に浸かる
□ 汗をかく程度の運動をする
□ 食事をきちんととる
□ こまめに水分補給を行う
□ 適度な塩分摂取を行う
□ 睡眠など身体をきちんと休ませる

 暑さに慣れるためサウナに長時間入る、暑いけどエアコンを使わないようにするなど、我慢大会のようなことはくれぐれも辞めてくださいね。
 一般的に必要な水分摂取量は50‒70kgの人で約1・5L‒2Lと言われていますが、1日500mlのペットボトル1本も飲み切ってない、トイレは朝行ったきりになっていませんか?私たちの身体は、口から飲んだ水分は消化管から吸収され、血液などの体液として循環し、老廃物を腎臓で濾過、尿として排泄します。水分不足になると血液量や体液量が減り、臓器の血流低下、老廃物の排泄に影響し、臓器機能低下に繋がり、全身のいたるところに不具合が生じます。

 暑くなると身体は汗をかき、汗を気化させることで体温を下げ、皮膚の血管を広げて血管の表面積を増やし、熱を体の外に逃そうとします。そのため広がった血管の中でもしっかり血液が満ちた状態でないと血圧低下につながり気分不快やめまいが起きやすくなります。夏は汗をかく分、失った水分を意識して摂取することが必要なのです。
 では、自分の水分摂取が足りているか、どうやって確認すれば良いのか? 自身でできるチェックとして、尿の量、尿の色、排尿回数、発汗状況を確認しましょう。普段から尿の状況を意識して観察し、いつもとどう違うか気づけるようにしておきましょう。

□ 尿の回数が1日5回未満
□ 尿の量が1回50cc未満
□ 尿の色が濃い黄色
□ 汗がでない
□ 皮膚が乾燥している
 
 2つ以上当てはまる場合は、水分不足になっているサイン。水分摂取を心がけましょう。また汗に混じって塩分も喪失するため塩分の摂取も重要です。ただし、基礎疾患や、内服中の治療薬によっても排尿状況、摂取して良い水分量・塩分量も変わってきます。
 かかりつけ医がいる場合は、「自分の場合はどれくらい良いの?」と相談してみましょう。
 スポーツドリンクの摂取は糖分も多く含まれているため、基礎疾患によっては飲み過ぎに注意が必要です。水分補給には適切な塩分が含まれている経口補水液がおすすめです。

 また、熱中症予防の指標として、気温、湿度、風、日射・輻射の気象条件を組み合わせた「暑さ指数」が推奨されています。暑さ指数によって、日本体育協会は「熱中症予防運動指針」、日本生気象学会は「日常生活における熱中症予防指針」を出しており、学校での運動や日常生活における行動指針が出され、最近ではその指数をもとに体育の授業構成を検討されたり、気象庁が「熱中症アラート」を発令し「今日は熱中症になりやすいですよ、注意してください」と天気予報で呼びかけられたりしています。
 熱中症は社会問題なので様々なところから情報発信されています。情報も上手に活用しましょう。

 これからの日本の夏は、どこまで暑くなるのだろうかと、恐怖すら感じますが、怖がりながら、ただ暑くなるのを待っていてはいけません。
 今のうちにエアコンや扇風機がきちんと作動するか、活動量が多い時にはどのように涼をとるかなど、機器の動作確認や過ごし方の作戦を練りながら、しっかり備えていきましょう。
熱中症予防_イラスト

執筆者

医師() 山田 祥子 Sachiko Yamada
専門分野 救急診療全般、熱傷

認定医・専門医・指導医 日本救急医学会救急科専門医、日本熱傷学会専門医、日本航空医療学会認定指導者、JPTECインストラクター、PBECインストラクター

出身大学
川崎医科大学 H18.3 卒業

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