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熱中症とは

熱中症とは

 高温な環境下で起こる気分不快やめまい、体調不良を熱中症と言います。
熱中症には環境」「身体の状態」「行動」が関連しています。

熱中症になりやすい条件として


 「環境」は、気温が高い、湿度が高い、風が弱い、直射日光が当たる、エアコンなどの涼をとる環境が整っていない。「身体の状態」は、基礎疾患や寝不足や二日酔いなどの体調不良、利尿剤などの内服薬、高齢者や乳幼児で体温調整が難しい、脱水状態。「行動」は、長時間屋外での作業、水分補給できない状況になる、激しい運動を行うなどがあり、身体の熱の「産生」と「放出」のバランスが崩れて、体温が著しく上昇し発症します。

熱中症の種類


 熱中症には「労作性熱中症」「非労作性熱中症」があります。「労作性」は、スポーツや労働などの労作が関連して起きる熱中症であり、「非労作性」は、労作は関連せずに日常生活の中で起きる熱中症です。
 労作性熱中症はスポーツや労働が関連するため、若年男性や中壮年男性に多くみられますが、近年では周知されてきていることから予防策も意識されるようになりました。スポーツや労働をきっかけに元々が健康な人がなるため、症状に気がついてきちんと対応すれば、治療への反応も良く、軽症で済むことが多いです。
 非労作性熱中症になった患者さんは「建物の中にいて、熱中症になる程動いていない」とおっしゃいます。高齢で基礎疾患があり体温調整が難しい方が、徐々に体温上昇し、脱水が進行することで、臓器障害を来します。寝たきりや活動性が低下した方が多いため、熱中症になっていることを気がつかないことが多く、気がついたときには中等症や重症な場合が多いです。
 高齢になると、暑さや口渇への感受性が低下し、代謝が低下することで体温調整も苦手になります。暑くないからと、エアコンの使用を避けたり、エアコンは冷えると着込んでしまったりすることがあるため、周りにいる方に体温調整や水分摂取に対して注意を払っていただく必要があります。
 適切にエアコンを使えているか、暑さによって服装の調整ができているか、こまめに塩分と水分摂取ができているか、気をつけていただきたいと思います。

余談ですが・・・


 電気代も高騰し、エアコンを気軽につけることもちょっと心配と感じることもあると思います。
最近ではクールシェアスポットという取り組みがあって、一人一台のエアコン使用は環境にも電気代にも悪いということで、公共施設で涼しい場所を提供するという取り組みがあります。図書館や美術館など様々な施設が参加していますので、活用してみてください。

 熱中症は症状によって重症度分類され、重症度によって必要な治療が変わってきます。

熱中症_チェックリスト

※症状と重症度は目安です。必ずしもこの症状ならこの重症度というものではありません。何か様子がおかしいと感じたら病院を受診してください。

受診後の流れ


 まずどの程度体温が上昇しているのか、深部体温を確認、血圧や脈拍、呼吸数を確認します。次に、血液検査で臓器障害を来していないか、横紋筋融解症を来していないか確認し、点滴をしながらきちんと正常な尿が出ているか確認をします。意識障害や臓器障害を来している場合は入院して経過を見ることになります。
 熱中症は屋外でなるものというイメージがあると思いますが、屋内でもなるということを知って、熱中症かもしれないと疑うことが大切です。

執筆者

医師() 山田 祥子 Sachiko Yamada
専門分野 救急診療全般、熱傷

認定医・専門医・指導医 日本救急医学会救急科専門医、日本熱傷学会専門医、日本航空医療学会認定指導者、JPTECインストラクター、PBECインストラクター

出身大学
川崎医科大学 H18.3 卒業

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