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マスク皮膚炎について

更新日:2022/10/15

マスク皮膚炎について

 COVID-19のパンデミック下で、すっかりマスク生活に慣れてしまいました。特に日本人は、周囲に配慮して、マスクを着用する方の割合が高いと思います。しかし、マスクを着用することで皮膚炎が悪化する患者さんも多いようです。どのような方が皮膚炎になりやすいのでしょうか。ドイツにおける大規模な調査結果を紹介します※。

マスクを長く着用する方のほうが皮膚炎になりやすい


 550名の対象者による調査結果では、13・1%の方に皮膚炎が生じていました。女性が18・7% 男性が5・8%の内訳で、男性より女性に皮膚炎が多く発症していました。 また、皮膚炎が生じた人のうちの、48・8%が医療従事者であったそうです。医療従事者の皮膚炎のリスク因子は、マスクの着用時間が長い、化粧品やスキンケア製品を使用する割合が非医療従事者より高いということがわかりました。接触皮膚炎の原因になる製品をつけてマスクを着用しているとかぶれやすくなると指摘されています。

もともと皮膚炎がある方はマスク皮膚炎に注意しましょう


  皮膚炎の症状は、かゆみ、紅斑、膿疱(にきびのような発疹)がみられます。
もともと、皮膚炎のある方、特に接触皮膚炎、しゅさ、口周囲に皮膚炎のある方は、皮膚炎のない方よりマスク皮膚炎を起こしやすいと報告されています。

サージカルマスクより布マスクのほうが皮膚にやさしい


  サージカルマスクのほうが布マスクより皮膚炎を起こしやすいそうです。医療従事者の方は、マスクを着用する時間が長く、布マスクが職場で認められていないことも、高い発生率の要因になっているようです。

どのような対策がよいですか?


  マスクの下に、化粧品やスキンケア製品は使用しないか、使用するとしても低刺激の製品を使うようにするのが良いでしょう。特にもともと皮膚炎がある方は、長時間マスクをすることで悪化しやすいので、職場以外では布マスクも考慮してみてください。それにしてもこのマスク生活、いつまで続くのでしょうか。早くパンデミックが終息し、皆様の笑顔が見られる日が来ることを願います。
イラスト(化粧品)


マスク皮膚炎チェックリスト


参考文献
Niesert, A.-C. et al. “Face mask dermatitis” due to compulsory facial masks during the SARS-CoV-2 pandemic: data from 550 health care and non-health care workers in Germany. Eur J Dermatol 31, 199–204 (2021).


執筆者

部長(教授) 青山 裕美 Yumi Aoyama
専門分野 自己免疫性水疱症、薬剤アレルギー、脱毛症、白斑、アトピー性皮膚炎、発汗障害

認定医・専門医・指導医 日本皮膚科学会皮膚科専門医

出身大学
岐阜大学 H1.3 卒業

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