文字サイズ

086-462-1111(代表)

喘息症状を和らげる治療の紹介について

喘息症状を軽くする治療

喘息というと「ゼーゼー、ヒューヒュー」音がして息苦しいというイメージをお持ちの方が
多いかもしれませんが、「咳が出る、痰がつまる、何となく息苦しい」といった症状が
夜中から明け方に強く出るのが喘息の症状の特徴です。
原因は患者さんごとに異なりますが、ハウスダスト、花粉、風などの何らかの原因により
気管支に炎症が起こり、痰がからみ、空気の通り道(気道)が狭くなっているのです。
喘息を完全に治すことは難しいですが、現在ではすぐれたお薬がありますので、
これらの症状を和らげる(軽傷の場合は取り去る)ことができます。

1つは、炎症を強力に抑える吸入ステロイド薬です。
2つ目は、12~24時間効果が維持する気管支拡張薬の吸入剤です。

また、最近では便利になりこの2つを同時に吸入できる配合剤があります。
吸入薬は、全身に与える影響が極めて少ないので安心して長年に渡り使用できます。
この他、アレルギーを抑える飲み薬も何種類かあります。
気管支拡張薬によって咳や息苦しさの症状は比較的速やかに改善しますが、
喘息という病気の本体である気道の炎症を改善するには年単位の根気強い吸入ステロイド薬による
治療が必要です。

この10年ほど喘息の病態に関する研究が進み、喘息を悪化させる物質が見つかり、
それだけをピンポイントに抑える安全なお薬が開発されました。
当院でも3種類のお薬が使用されています。
しかし、これまで通常喘息に使用されていたお薬と比べると非常に高価なため、
現在のところは重症の喘息患者が対象となっています。

喘息は自己管理が大切

喘息は、慢性の病気であり糖尿病や高血圧と同じように自己管理が大切です。
症状がなくても毎日定期的に吸入療法を続けることが一番大切です。
これは、喘息発作の予防であると同時に気道炎症を治療しているのです。
自己判断で吸入をやめたりしないで、担当の担当の先生と相談しながら
少しずつお薬を減らしていきましょう。

喘息治療_自己管理


喘息のもう一つの特徴は、変動する病気であるということです。
風邪で喘息が悪くなり、発作を起こす人が一番多いです。
冷え込む時には余分に布団や毛布を用意するなどの寒さ対策や、
帰宅後のうがいや手洗いを行い、風邪をひかないようにする事が大切です。
自分の喘息がどんな原因で起こっているかを知り、それを避けることも重要です。
家族や職場など身近に喘息患者さんがいる方は、絶対に近くでタバコを吸わないように心がけてください。

喘息_悪化


K-style vol.58 2019春号より
K-style58

執筆者

副部長(准教授) 加藤 茂樹 Shigeki Kato
専門分野 呼吸器疾患一般、喘息・アレルギー、間質性肺炎/肺線維症

認定医・専門医・指導医 日本内科学会認定内科医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医

出身大学
長崎大学 S61.3 卒業

メディカル
インフォメーション 検索

診療科・部門で探す