慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病(CKD)とは腎臓の機能を示す指標が3ヶ月以上悪い状態をいいます。CKDが進行すると、体を正常に維持できなくなります。それを助けるために臓器代替療法、いわゆる透析などが必要となります。またもう一つ重要なこととして、早期の腎障害(検尿異常や腎機能低下)の時点で心筋梗塞や脳卒中のリスクが高いことがわかってきました。これはCKDの主な原因が生活習慣病に変わってきたためです。つまり糖尿病や高血圧などは血管を悪く(動脈硬化)しますが、血管が悪くなるということは全身の臓器に障害をきたしうる訳です。近年では加齢という治療介入できない因子も加わってきました。特に腎臓は血液から尿を作るため、血管が豊富に存在します。結果、CKDでは心筋梗塞などの発症リスクが高くなります。
次に腎臓の役割について二つ述べたいと思います。
一つは「尿を作る工場」であることです。その作った尿に異常があるということは、「工場である腎臓に異常がある」可能性が高いため注意が必要です。このため学校検診などでは検尿で病気の有無をチェックします。
検尿異常でも重要なものとして蛋白尿と血尿があります。蛋白尿は腎臓の悲鳴の一つです。例えば、腎臓自体かなり悪くならないと腎機能低下として見ることができません。最も重要な糖尿病による腎障害では早期でむしろ腎機能は高くなることがわかっています。しかしその時期からアルブミン尿(蛋白尿の一つ)が出現してきます。これは高血糖により腎臓の濾過装置である糸球体が無理やり働かされていることが原因です。このような状態を過剰濾過(かじょうろか)と言います。血尿は泌尿器科疾患(膀胱炎、尿路結石や尿路系のがんなど)でも出てきます。一方で蛋白尿と一緒に出ている場合は腎炎などの特殊な疾患を想定する必要があります。例えば健診で指摘され受診される患者さんも多くおられますし、感冒(風邪)をひいた後にコーラ色の尿が出て受診される方もおられます。いずれにしても調べることでわかりますので、尿の色がおかしいときは受診していただければと思います。
もう一つは「体で溜まったゴミを捨てる工場」でもあります。このため、腎臓が悪くなるとゴミが溜まってしまいます。そのゴミの代表として見るのがクレアチニンとなります。ただこのクレアチニンは正常値を超えた時点でかなり腎機能が低下していることから早期の腎機能の指標としては分かりづらいという欠点がありました。このため近年はクレアチニンから算出する推定糸球体濾過量(eGFR)を見ることが通常です。これらの推移をしっかり見ていくことが最も重要なことです。
つまり定期的な検査をかかりつけ医と一緒に評価してもらうことで早期CKDを見つけることができる訳です。心筋梗塞や脳卒中の予防の意味でも早期にCKDを見つけることは大きな意味があるのです。
執筆者
-
副部長(准教授)
長洲 一
Hajime Nagasu
専門分野
腎臓病、高血圧、血液浄化療法
認定医・専門医・指導医
日本内科学会認定内科医、日本高血圧学会高血圧専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、多発性嚢胞腎協会PKD認定医
- 出身大学
- 川崎医科大学 H15.3 卒業
- 副部長(准教授) 長洲 一 Hajime Nagasu
専門分野
腎臓病、高血圧、血液浄化療法
認定医・専門医・指導医 日本内科学会認定内科医、日本高血圧学会高血圧専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、多発性嚢胞腎協会PKD認定医
- 出身大学
- 川崎医科大学 H15.3 卒業