文字サイズ

086-462-1111(代表)

感染症への対策について

更新日:2024/01/10

感染症への対策について

備えは万全に


 新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)が法令上は一般の感染症の扱いになったからといって、これまで行ってきた対策をすべて止めてしまってよいというわけではありません。コロナ以前は毎年冬に流行していたインフルエンザもそうですが、感染症は時に大きな流行を起こします。また、高齢者や基礎疾患のある方、あるいは年少児などが感染症に罹ると、しばしば重症化します。健康な人でも一定の頻度で合併症をきたすことがあり、適切な予防や治療を常に心がけるべきです。
 感染症では発熱などを認めますが、重症化の徴候を見逃さないように、チェックリストに示すような症状がある場合は、早急に医療機関への受診が勧められます
K-style74号_チェックリスト


感染経路


 病原体の種類によっても異なりますが、ウイルスや細菌は人の粘膜や皮膚から体内に侵入します。特に粘膜は侵入門戸となることが多く、病原体が付着した手指を舐めれば口腔粘膜や呼吸器粘膜から、目を手で擦れば目の粘膜から感染します。また、呼吸器感染症でよく知られた感染経路は「飛沫感染」です。患者さんや無症状感染者の唾液や咳しぶき(飛沫)には病原体が含まれています。飛沫は1m程度の距離までは容易に飛び散りますが、それより離れていれば簡単には感染しません。しかし、密な環境や食事中の会話は、飛沫への曝露機会を増し感染リスクを高めます。大声や換気の悪い空間も感染機会を増やします。日常生活においてこれらリスクの高い状況を回避することは、感染予防に有効です

K-style74号_イラスト1

手洗いやマスクの効果


 流水での手洗いにより、付着した病原体を洗い流すことができます。指先、爪と皮膚の間、指の間、手のひら、皴しわの間、手の甲、手首と余す所なく念入りに洗いましょう。石けんを使用すれば、さらに効果的です。流水での手洗いができない場合は、手指消毒用アルコールによりウイルスや細菌の感染力を失わせる方法もあります。また、マスクは飛沫から身を守ることと併せて、自分から飛び散る飛沫を少なくすることができます。すなわち、咳エチケットと同様に、他人への感染予防にも有効な対策です。

K-style74号_イラスト2

ワクチンの活用


 感染症を予防する目的で、当該病原体に特異的な抵抗力すなわち「免疫」と呼ばれる力を付ける手段が予防接種です。そして、予防接種に用いる医薬品は、ワクチンと呼称されます。感染症に罹る前に、罹ることを防ぐ力が備わるなら、こんなにありがたいことはありません。科学者たちはこれまでに、エドワード・ジェンナーの天然痘ワクチンに始まり、ポリオ(小児まひ)や麻疹(はしか)などいろんな感染症に対するワクチンを開発し、その普及により消滅した病気もあります。ワクチンという予防手段がある感染症に対しては、それを有効に活用することも大切です。

執筆者

部長(教授) 中野 貴司 Takashi Nakano
専門分野 小児科、感染症、予防接種、国際保健

認定医・専門医・指導医 日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本感染症学会専門医・指導医、ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)、国際渡航医学会認定資格、臨床研修指導医

出身大学
信州大学 S58.3 卒業

メディカル
インフォメーション 検索

診療科・部門で探す