文字サイズ

086-462-1111(代表)

頭痛の治療と予防について

更新日:2022/01/26

片頭痛と緊張型頭痛の治療について

ここでは慢性の一次性頭痛である片頭痛と緊張型頭痛についての治療についてご紹介します。

片頭痛の治療について


 片頭痛の発症機序はまだ十分にわかっていませんが、頭部の血管が拡張し、炎症を起こすことで、痛みが生じると考えられています。
 頭痛発作時の鎮痛薬としては、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬などの一般的な痛み止め・頭痛薬がよく用いられ、効果を示すこともありますが、片頭痛では症状が強いことも多く、これらの一般的な治療薬では症状の改善は不十分なことも多くみられます。片頭痛発作時の治療薬として2000年代以降、トリプタン製剤と呼ばれる薬剤が使用されるようになり、一般の鎮痛薬よりも有効性が認められています。トリプタン製剤の多くは飲み薬ですが、注射薬はより重症な頭痛の際に有効性が認められています。トリプタン製剤は頭痛発作の発症からできるだけ早く内服することでより効果が高いことが知られています。
zutsuu3

 一方、片頭痛の発作が月に2回以上あるような患者さんでは、発作の回数そのものを減らす、または発作の程度を軽減させる予防療法の開始が勧められます。
 片頭痛の予防効果が期待できる薬剤には、抗てんかん薬、抗うつ薬、β遮断薬やCa拮抗薬などが用いられてきましたが、その効果は十分ではありませんでした。2021年から、日本でも新たな片頭痛予防薬であるCGRP拮抗薬が使用できるようになり、最近注目を集めています。この薬剤は片頭痛時の血管の炎症に関わるCGRPと呼ばれる物質をブロックする薬剤であり、現在は注射製剤のみですが、約半数の患者さんで、発作回数が50%以上減少するなど、これまでの予防薬と比較しても高い効果を認めています。現時点では月4回以上の発作が起こる患者さんを対象に、特定の基準を満たした病院での処方が可能ですが、当院でも多くの患者さんにお使いいただき、効果の大きさが実感できています。海外では数年前から使用されており、長期的な安全性についても証明されてきつつあり、今後日本でもより多く使われる様になると考えられます。
zutsuu4

緊張型頭痛の治療について


 一方、緊張型頭痛の急性期では一般に使われるアセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬などの痛み止め・頭痛薬が有効であることが多く、これらの薬が多く用いられています。ただし、漫然と長期間頻回に鎮痛薬を内服している患者さんでは、逆に薬剤の使いすぎに伴う薬剤乱用頭痛を発症することもあり、注意が必要です。緊張型頭痛の予防には、抗うつ薬などの薬剤も用いられますが、緊張型頭痛の発症が身体的・精神的なストレスと関与していると考えられていることから、ストレッチやマッサージ、体操などの生活指導もあわせて行うことが重要です。
zutsuu5

執筆者

部長(教授) 三原 雅史 Masahito Mihara
専門分野 神経疾患全般、神経変性疾患(パーキンソン病など)、リハビリテーション

認定医・専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本神経学会認定神経内科専門医・指導医、日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医・指導医、日本脳卒中学会認定脳卒中専門医、日本認知症学会専門医・指導医

出身大学
大阪大学 H11.3 卒業

メディカル
インフォメーション 検索

診療科・部門で探す