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熱傷

更新日:2020/01/18

あらためて知りたい熱傷(やけど)について

熱傷は皆さんの日常に起こりえる身近な疾患です。
熱傷の受傷原因としては、まず、10歳以下の小児において圧倒的に多い、コーヒー・味噌汁・ラーメンの汁などによる熱湯熱傷が挙げられます。
また熱い鍋・ストーブなどに直接触れることで生じる接触熱傷や、自宅の火災や野焼きによる火炎熱傷があります。
特殊な例としては、湯たんぽなどに長時間接触することで生じる低温熱傷や、化学薬品が原因となる化学熱傷などが挙げられます。
このように、寒い時期になると様々な理由で熱傷を受傷される方が多くなるので、特に小さいお子さんのいるご家庭では、熱傷に対し十分な注意を払う必要があります。
近年では、多くの家庭で短時間で湯沸しができるポットを使用されていますが、便利な反面注意も必要です。
デーブルクロスの上にポットを置き、お子さんがテーブルクロスを引っ張ってしまい、直接熱湯をかぶってしまうという事例が多くあるのです。
熱傷_アイコン
また、炊飯器から出る蒸気も非常に高温になっている場合があるので、なるべく高いところに設置する必要があります。
こうした少しの注意で、熱傷は予防することができます。

熱傷の症状と重症度

熱傷は、皮膚がどの深さまで損傷したのか、その深達度で治療や治り方が大きく異なります。
深達度の分類としてはⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と表現されます。

Ⅰ度熱傷


皆さんも日常的に経験されるレベルの日焼けです。
皮膚は赤くなり、強い痛みを伴いますが、治療をしなくても数日で治り瘢痕は残りません。

Ⅱ度熱傷


水泡(水ぶくれ)が生じ痛みを伴います。
この場合、適切に軟膏治療を行わないと色素沈着や熱傷瘢痕が残ることがあります。

Ⅲ度熱傷


皮下脂肪のレベルまで損相しており、皮膚は白く硬く変化します。
また、知覚神経まで損傷されているため、あまり痛みを感じません。
治療としては、植皮術などの外科的治療が必要となる場合が多くなります。
植皮術とは他の正常な部位から薄く皮膚を採取し、患部に皮膚を植えることを言います。
この場合、自分自身の皮膚しか植皮には用いることができません。


熱傷の重症度判定は、熱傷が生じた部位、広さ、深達度によって変化します。
熱傷_図
一般的に体全体の30%以上のⅡ度熱傷、もしくは10 %以上のⅢ度熱傷は重症と診断され、専門施設での入院加療が必要です。
また顔面や手足、陰部の熱傷も特殊部位として重症と判断されます。
だいたい下肢1本の面積は体全体の18%ぐらいになりますので、下肢Ⅲ度熱傷となるとかなりの重症熱傷ということになります。

熱傷の治療


熱傷の治療は、保存的治療外科的治療に分けられます。
保存的治療とは局所の冷却や軟膏塗布を行い、損傷した皮膚を再生させることです。
主にⅡ度熱傷において行われることが多く、2~3週間を目途に治療を行います。
この場合、色素沈着や熱傷瘢痕が残ることがあります。
1か月以上治らない熱傷はⅢ度熱傷に至っていることが多く、受傷面積が広い場合、採取できる皮膚が少ないと治療できないことがあります。
このような広範囲重症熱傷においては、自分の表皮を培養して大きくし、その場要した表皮を移植する自家培養表皮移植が2009年から行われるようになりました。
この培養表皮移植は当院でも行っており、重症熱傷の新たな治療法として注目されています。


K-style vol.61 2020新年号より
K-style61

執筆者

副部長(准教授) 戎谷 昭吾 Shogo Ebisudani
専門分野 再建外科、マイクロサージャリー

認定医・専門医・指導医 日本形成外科学会形成外科専門医、日本形成外科学会皮膚腫瘍外科指導専門医、日本創傷外科学会専門医

出身大学
川崎医科大学 H10.3 卒業

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