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便秘の治療・内服薬の注意

便秘の治療・内服薬の注意

 食事、排便、睡眠、適度な運動など、規則正しい生活習慣を身につけることは重要です。十分な水分および野菜や果物などの食物繊維やヨーグルトなどの摂取は効果があるとされています。食物繊維は、水分を吸収してふくらみ、腸を刺激し腸の動きを活発にする作用があります。腸内細菌のバランスを改善して有益な作用をもたらす微生物(プロバイオティクス)の配合されたヨーグルトや乳酸飲料が、便秘の改善に有効であることが証明されています。しかし効果には個人差があり、菌の種類や組み合わせによっても効果は異なります。また、ヨーグルトや牛乳は、下痢や腹痛を誘発する場合もありますので注意が必要です。
 便秘の治療・内服薬の注意1
便秘の治療・内服薬の注意2

 トイレを我慢することで便秘になることから、毎日トイレに行き、排便のための時間を十分にとり、適切な排便姿勢をとるなど、排便習慣をつけることも大切です。適切な排便姿勢とは、洋式トイレで排便時に前かがみ(ロダンの彫刻作品 考える人のポーズ)になると直腸と肛門の角度が広がって、便が通りやすくなります。食事・運動療法により肥満を解消し、アルコール多飲、喫煙を控えることは、がんの予防に加え、高血圧・糖尿病・脂質異常など生活習慣病の治療としても有効です。但し、極端なダイエットは、便秘の増悪になるため、1日3回バランスのよい食事をとる食習慣を身につけることが大事です。
便秘の治療・内服薬の注意3
 便秘薬には、便を柔らかくする薬や大腸の運動を促進して排便を促す薬や漢方薬などがあり、薬局でも購入することが可能です。然と薬を内服することで、薬が効きにくくなったり、腹痛や血便の原因になることがありますので注意が必要です。最近、消化管学会から提唱された便秘のガイドラインでは、排便回数が減少した便秘に対しては、食事・運動療法の後に、非刺激性の浸透圧性下剤(酸化マグネシウムなど)が推奨されています。酸化マグネシウムは、便が硬い場合に、効果が期待できる比較的安全な安価な薬です。しかし腎機能が低下している場合の高マグネシウム血症や他の薬剤との相互作用もありますので、内服する場合は、薬剤師や医師と相談をしてください。効果が不十分な場合に、近年登場した新しい便秘薬は、効果が期待できます。比較的よく用いられる刺激性下剤(センナ、ピコスルファートなど)は、有効性が高く、便秘時に頓用で内服することが、推奨されています。しかし刺激性下剤やグリセリン浣腸は常用したり増量して乱用することは、控えるようにして下さい。習慣性や耐性が問題とされています。慢性の便秘の症状があり、つらい症状や不満が解消されない場合は、医師に相談して適切な検査や治療を受けることが大切です。便秘薬により下痢をきたした場合は、薬の減量あるいは中止・他の薬への変更を医師と相談してください。


執筆者

部長(教授) 塩谷 昭子 Akiko Shiotani
専門分野 消化管出血・消化管のがん、炎症性腸疾患、生活習慣病、機能性胃腸症

認定医・専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会指導医、日本消化器内視鏡学会指導医、日本消化管学会胃腸科指導医、日本ヘリコバクター学会H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医

出身大学
和歌山県立医科大学 S61.3 卒業

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