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心筋梗塞の予防について

心筋梗塞の予防について

  心筋梗塞の主な原因が動脈硬化です。動脈硬化のリスク要因には、加齢、肥満、喫煙、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症等、様々なものがあります。加齢は避けられないことですが、喫煙や肥満は自己管理により解決可能です。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症に関しても、食事療法や運動療法で、ある程度改善可能ですし、かかりつけ医に相談し、適切な薬剤管理でコントロールすることが心筋梗塞の発症予防に重要です。これらの要因のうち3項目以上当てはまる男性なら50歳以上、女性なら60歳以上の人は、発症リスクが高いと考えたほうがいいでしょう。なお、心筋梗塞発症時の平均年齢が、男性より女性のほうが10歳ほど高いのは、女性ホルモンの影響と考えられています。家族の中に狭心症や心筋梗塞の人がいる場合も、体質面や生活習慣の面で発症の危険性があると言えますので注意して下さい。

 極度の疲労やストレス、睡眠不足、急激な温度変化などが、心筋梗塞の直接の引き金になります。特に上記リスク要因が揃っている人には注意が必要です。食事や運動習慣、睡眠や生活スタイルを早期に見直すことで、動脈硬化の進行を抑制し、心筋梗塞の発症を未然に予防することが大切です。
イラスト(心筋梗塞予防2)

心筋梗塞の治療


  心筋梗塞を起こしたら、11秒でも早く詰まってしまった冠動脈の血流を再開させる治療が必要です。現在ではほとんどの患者さんに緊急でカテーテルインターベンション(P C I )と呼ばれるバルーン(風船)やステントを使用した心臓カテーテル治療が行われています。心筋梗塞を発症してから、できるだけ早期にカテーテル治療が行えれば、壊死した心筋細胞の範囲が小さくなることが確認されているからです。閉塞している場所以外にも冠動脈に狭窄がある場合や、他の疾患も合併しているような重症患者さんでは、緊急冠動脈バイパス手術を行われることもあります。

心臓カテーテル治療とは


  カテーテル(細い管)を手首や足の付け根の動脈に挿入し、冠動脈の入り口まで持っていきます。そして、冠動脈の詰まった箇所に細い針金(ガイドワイヤーといいます)を通して、カテーテルの先端に装着したバルーン(風船)を膨らませて拡張し、血流を再開させます。その後、ステント(筒状になった網目の金属)で血管の拡がりを維持させる方法です(図3) 。
イラスト(心筋梗塞図3)


 心筋梗塞の治療の際に最も重要なことは、11秒でも早く冠動脈の血流を再開することです。
患者さんから通報を受けた救急隊は迅速に病院に搬送してくれます。患者さん自身が、救急車を呼ぶのを我慢したり、ため
らってしまうと重大な結果になることがあります。
 幸い、診療体制や医療技術の進歩で、心筋梗塞の救命率は飛躍的に向上しています。心筋梗塞は命に関わる重大な病気です
が、迅速に治療すれば、もとの健康を取り戻せますので、いままで経験したことがないような胸の痛みや不調を感じたら、迷わず救急車を呼び医療機関を受診するようにしましょう。

心筋梗塞チェックリスト

 

執筆者

副部長(准教授) 久米 輝善 Teruyoshi Kume
専門分野 循環器疾患全般、カテーテルインターベンション、血管内超音波、心臓超音波

認定医・専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターべンション治療学会認定医・専門医、日本心臓病学会FJCC、JMECCインストラクター、ICLSインストラクター、日本心臓リハビリテーション学会認定心臓リハビリテーション指導士

出身大学
川崎医科大学 H11.3 卒業

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