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男性の更年期障害(LOH症候群)とは

男性の更年期障害(LOH症候群)

  更年期障害は女性特有のものと考える方が多いと思いますが、実は男性にも女性と同様に更年期障害は存在します。
男性の更年期障害は
1.E D(勃起不全)や性欲の低下に代表される性機能症状、
2
. 集中力や記憶力の低下や睡眠障害、意欲の低下やイライラ、不安、うつなどの精神症状、
3. 発汗やほてり、筋力低下や肥満、骨粗鬆症などの身体的症状など、いろいろな症状を示します。
そのような
40歳以降の加齢による生理的な性腺機能低下とそれに伴う症状を呈するものを加齢性腺機能低下症、またはLOH(ロー)症候群と呼びます。

女性の更年期障害との違い

 女性の更年期障害は女性ホルモンの低下によって引き起こされますが、男性の更年期障害は男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされます。男性ホルモンの低下は加齢に伴っ て非常にゆっくりと低下するため(表1) 、男性の更年期障害は中高年以降ならいつでも発症し得る上に一度発症するとずっと続きます。女性の更年期障害が閉経の前後の約10年間と発症時期と期間がはっきりとわかりやすいのに対して、男性の更年期障害はいつ発症したかが不明で長く続き、また男性ホルモンの欠乏の程度によって症状の程度が異なるという特徴があります。
K-style_70表1

診断法

  L O H 症候群の診断は「臨床症状」と「血中の男性ホルモン(テストステロン)の値」で決めます。
臨床症状はA D A M 問診表(チェックリスト)や
A MS 問診表の質問表などによって診断されます。わが国ではA MS 問診表がよく使われていますが質問事項が多く、計算が面倒な点が課題です。
 血中の男性ホルモン(テストステロン)値は2 5 0
ng dL2・5 0ng mL)未満で性腺機能低下と診断します。テストステロンの産生は日内変化があるので午前中に採血することが勧められます。

治療法

  治療の基本は低下した男性ホルモンを補充するテストステロン補充療法ですが、わが国で保険適応になっているものはテストステロン製剤の筋肉注射のみです。一般に2週から4週ごとに投与をします。
 テストステロン値が低く、症状が重い場合はテストステロン補充療法が有効ですが、多血症を引き起こし、静脈血栓のリスクが高まりますので定期的な血液検査も必要です。また、注意すべきことは前立腺がんの患者は、がんの進行を促進するので、事前に前立腺がんの除外が必要になります。
 一方、テストステロン値がそれほど低くない患者は、 「E D の場合はE D 治療薬」 「うつ状態は抗うつ薬」 「不安症状は抗不安薬」 「骨粗鬆症の場合は骨粗鬆症治療薬」と症状に応じた対症治療になります。最初に述べたように男性は男性ホルモンが年齢に応じてゆっくり低下するので、女性の場合と異なり、対象患者全員が男性ホルモン補充療法になることはありません。ストレスの少ない生活を送り、適度の運動、食生活の見直しなどの生活習慣の改善が重要となります。



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執筆者

部長(教授) 宮地 禎幸 Yoshiyuki Miyaji
専門分野 泌尿器一般、泌尿生殖器がん、腹腔鏡下手術、副腎外科、女性泌尿器疾患

認定医・専門医・指導医 日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医・指導責任者、日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)、日本内分泌学会専門医(泌尿器科)、泌尿器ロボット支援手術プロクター(前立腺がん・腎細胞がん・膀胱がん)、日本ロボット外科学会Robo Doc Pilot(国内A級)

出身大学
岡山大学 S63.3 卒業

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