生理機能検査・検体検査
生理機能検査
脳・神経機能検査
循環・呼吸機能検査
超音波検査
バスキュラー検査
脳・神経機能検査
脳波検査(EEG)
大脳皮質の神経細胞群から発生する電気活動の総和を頭皮上電極より導出、記録したもので、脳の機能的および器質的疾患が疑われるときに行われる検査です。
脳幹聴覚誘発電位検査(BAEP)
音刺激により蝸牛神経から脳幹部経路に生じる反応を検査します。
BAEPは、時間10msec内に7個の陽性頂点をもつ遠隔野誘発電位(far field potential)で、各波形の名称はI波、II波、III波、IV波、V波、VI波、VII波と呼ばれ、その起源も明らかにされており、診断的価値が極めて高く、脳幹障害の診断をはじめ、難聴や乳幼児の聴覚障害のスクリーニングなどにも幅広く臨床応用されています。また、この検査は脳幹機能の存在程度が把握できることから、最近では脳死判定にも用いられています。
体性感覚誘発電位検査(SEP)
手や足の感覚神経を刺激したときに発生する電位で、その起源は比較的明確です。主に刺激伝導路(末梢神経、脊髄、脳幹、大脳皮質)の機能障害を検索するときに行われます。
視覚誘発電位検査(VEP)
光や図形(白黒の格子縞模様)などの視覚刺激を与えて、大脳皮質視覚野に生じる反応を記録する検査です。視覚神経路の障害の有無を知ることができます。当検査室では図形反転させるパターンリバーサル刺激を用います。この刺激は白の格子と黒の格子が一定の時間間隔で互いにその位置を交換する方法で、比較的弱い光エネルギーで効果的に視覚領のニューロンを刺激できる優れた方法です。
神経伝導検査(NCS)
神経を皮膚上で電気刺激し、筋肉や神経上に誘発された活動電位を記録します。得られた活動電位から伝導速度、振幅、持続時間などを測定して、末梢神経病変の有無や病態解析に利用します。
末梢神経伝導検査には、運動神経伝導検査(MCS)と感覚神経伝導検査(SCS)があり、目的にあわせて検査を行いますが、両方を組み合わせて行うのが一般的です。なお、この検査は電気刺激により多少の痛みと違和感を伴います。
F波
運動神経伝導検査(MCS)で得られる活動電位より遅れて出現する微小な波をF波といいます。F波は、刺激の興奮インパルスがα運動ニューロンを脊髄まで逆行し、脊髄前角細胞を興奮させ、再びα運動ニューロンを順行性に下行して筋発射させる反応と考えられています。脱髄病変では、潜時の延長や多相性を呈することがあります。なお、この検査は電気刺激により多少の痛みと違和感を伴います。
反復刺激試験
神経・筋接合部での伝達障害または筋細胞の興奮性の変化を調べる検査です。末梢運動神経に反復して電気刺激を加えると、正常では、刺激周波数や刺激回数が増減しても得られる活動電位の振幅・面積には変化がみられず、ほぼ一定に保たれます。しかし、重症筋無力症を代表とする神経・筋接合部疾患では漸減(Waning)現象や漸増(Waxing)現象がみられ、鑑別診断に有用です。なお、この検査は電気刺激により多少の痛みを伴います。
瞬目反射
三叉神経第1枝(上眼窩神経)の電気刺激などによって誘発される下眼輪筋の反射性電位を記録し、三叉神経を求心路、顔面神経を遠心路とする脳幹反射の神経伝導を客観的に評価する検査です。これにより、三叉神経、顔面神経、脳幹などを侵す疾患の病態解析や経過観察を行います。なお、この検査は電気刺激により多少の痛みを伴います。
針筋電図検査
骨格筋が収縮するときに生じる活動電位を筋電計で観察し、筋や運動神経の状態を判定する検査です。つまり、活動電位の波形(形、振幅、持続時間)や出現様態により、末梢神経・筋系の異常を検索するのに用います。また、異常筋電図の種類、出現部位や程度により疾患の診断に有用です。なお、この検査は筋肉に針を刺しますので、多少の痛みを伴います。
重心動揺検査
直立姿勢に現れる重心の動揺を重心動揺計を用いて記録し、めまいの有無、程度、種類の鑑別や、めまいの治療効果、治癒の判定(経過観察)を行う検査です。
循環・呼吸機能検査
心電図検査
最も基本的で簡便な検査で、心筋細胞に発生した電気的興奮の変化を記録するもので、全く侵襲がありません。狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患や不整脈の診断に有用です。
心臓超音波検査(心エコー図検査)
心エコー図法
胸壁上に探触子をおき、心臓内へ超音波を投入することによって、心臓内の構造や動き、血流を同定する方法で、断層法(Bモード法)、Mモード法およびドプラ法の3つがあります。断層法は心臓の断面を二次元的に描出するもので、心臓の形態や各部の動きを立体的に把握する手段となります。
また近年、3Dエコーの評価が可能となり、より立体的に詳細な心臓の動きや弁膜症などの診断が可能となりました。Mモード法は心臓各部の動きの時間的位置変化を表示するもので、内径や壁厚の計測に用いられます。ドプラ法では心臓内の血流の速度や方向を調べることができます。
経胸壁ドプラ冠動脈エコー図検査
経胸壁ドプラ法を用いて、冠動脈病変を簡便に診断できるようになりました。一部の冠動脈は評価出来ない事がありますが、非侵襲的で安全な検査です。
経食道心エコー図法
空気は超音波を吸収し、骨は反射するため、通常の経胸壁心エコー法では肺、肋骨、胸骨などの障害物のために良好な画像が得られないことも少なくありません。特に体の背部に位置する左房、肺静脈や下行大動脈について詳細な情報を得ることは難しいです。食道と心臓は近接しているため、超音波探触子を食道内に挿入し、食道の内側より心臓内に超音波を投入することによって、障害物なしに、極めて良好な心臓の断面像を得ることができます。しかし、内視鏡的技術を必要とし、多少とも侵襲的といえる検査法です。
ホルター心電図検査
心電図を連続的に長時間記録することで、日常の安静時心電図あるいは運動負荷心電図では捕捉し得ない不整脈や、ST-T変化の評価、定量的解析が可能となり得ます。また、日常生活上、行動内容・発生時刻および発生状況と異常波形の関連性を把握し、適切な薬剤投与や治療、あるいは無症候性の虚血性心疾患の診断においても重要な検査法です。さらに学童検診の精査や人工ペースメーカーの機能診断にも応用されています。
運動負荷心電図検査(トレッドミル検査)
動くベルトの上を歩行し、運動量を除々に増していくものです。始め動くベルトの上を歩きながら足慣らしをした上で、一定時間(2~3分)毎にベルトの動く速度と傾斜を変化させて運動量を増していきます。負荷中の心電図、血圧監視ができ、また各個人に応じた負荷をかけられる利点があります。
予め医師の診察を受け、必要と認めた方に受けていただきます。検査中は医師が立ち合い、心電図、血圧、心拍数を監視します。心拍数が目標の値に達した時、胸痛が現れたときや立ち合い医師が必要と判断した場合には検査を終わります。(事前に同意書をいただきます)
肺機能検査
一般的な肺機能検査は、空気の出入りの機能を調べる検査で、換気機能検査と呼ばれています。検査項目としては、肺活量(ゆっくり吐いたり、吸ったりした時の容量)や強制呼出曲線、フローボリューム曲線(最大努力呼出を行った時の息を吐く速さと、容量の変化を記録したもの)があります。この検査から、「%肺活量」「1秒率」を求め、換気機能障害の有無を検索します。精密な検査を希望する場合は、これに加えてガス交換機能の良し悪しをみる検査(肺拡散能力)、肺内ガス分布をみる検査(クロージングボリューム)、気管支の抵抗を測る検査(呼吸抵抗)、吐けなくなるまで吐いても肺内に残存する気量を測るための検査(機能的残気量)などを行います。
超音波検査
- 超音波(エコー)検査
超音波検査とは通常、人が聞くことのできない高い音を使って体の病気を調べる検査です。観察したい部位に専用のゼリーを塗り、プローブと呼ばれる器具を当てて検査します。超音波は臓器の境界で反射する性質があります。この性質を利用して反射してくる音を映像化します。この検査は放射線被曝や痛みも無く安全な検査です。
- 腹部超音波検査
肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、脾臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣、胃、大腸などお腹の中にあるほぼ全ての臓器を調べることができます。定期受診の方だけでなく発熱、腹痛、食欲不振、体重減少など様々な症状の方の原因を探す検査としても用いられます(所要時間10~30分)。
甲状腺超音波検査
甲状腺はのどぼとけの下にある臓器で新陳代謝をコントロールするホルモンを分泌しています。この検査は甲状腺の大きさや形、炎症や腫瘍の有無を調べます(所要時間10~20分)。
乳腺超音波検査
乳腺内の腫瘍や乳管拡張などの変化を観察します。マンモグラフィーと違い、妊娠中の方も検査でき、痛みもありません(所要時間10~30分)。
関節超音波検査
主に関節リウマチや痛風の診断に有用です。手や足の指など小さな関節から、肩や膝など比較的大きな関節までいろいろな関節を検査します。骨の変形が無いか、水がたまっていないか、関節や腱に炎症が無いかを調べます(所要時間10~40分)。
体表超音波検査
皮膚や皮膚の下のできものを観察します。また首に炎症がおこり痛みや腫れがみられる場合にリンパ節や耳下腺などを調べます(所要時間10~20分)。
頚動脈超音波検査
頚動脈は脳に血液を送る大切な血管です。動脈硬化によって厚くなった血管の壁やこびりついたプラーク(コレステロールのかたまり)などを確認することができます。また全身の動脈硬化の指標となる検査です(所要時間10~20分)。
下肢静脈超音波検査
肺塞栓症の原因である血栓(血液のかたまり)が血管の中にできていないか調べます。また、下肢静脈瘤(血管がこぶのように膨らんだ状態)の検査にも有用です(所要時間10~20分)。
下肢動脈超音波検査
足の動脈の流れが悪くなると、最初はだるさ、しびれ、悪化すると足先が赤紫色になったり、冷えて痛みが出たりします。この検査では動脈硬化の程度や、詰まったり、細くなったりしている範囲を調べます(所要時間10~30分)。
シャント超音波検査
透析患者さんにとってシャントはとても大切です。しかし長年使用していると不具合もでてきます。この検査ではシャントが詰まっていないか、細くなっていないか、感染を起こしていなかなどを評価します(所要時間10~20分)。
バスキュラー検査
血管(動脈と静脈)の病気や健康度、血液を流す機能を調べる、無侵襲な検査を集めた検査室です。体に針を刺したり薬やレントゲンを使ったりしないため、繰り返し検査を受けても体に害がありません。このため病気を発見するだけでなく、経過や治療の効果をみるのにも適しています。
血圧脈波検査
足関節上腕血圧比 / 足趾上腕血圧比 / 脈波伝播速度(ABI / TBI / PWV)
両腕と両足首に血圧計を巻き、4カ所の血圧と脈波を同時に測定します。腕や脚の動脈が狭くなり、血圧や脈波が下がっていないかを調べる方法です。当院では足ゆびの血圧も測定することで、より精度を高めています。動脈に強い狭窄がない人では、同時に動脈硬化の進行の目安値(血管年齢)も測定されます。
運動負荷ABI
トレッドミル(動く床)の上を3分間歩いた前後で、足関節上腕血圧比(ABI)を測定します。運動時にのみ脚の血流が足りなくなる、軽い動脈の狭窄の有無を調べます。また運動後からABIが回復する時間を調べることで、血流の悪さの重症度を評価します。(事前に同意書をいただきます)
最大歩行距離
トレッドミル(動く床)の上を、脚の痛み等で歩けなくなる限界まで歩いていただき、その距離を測る検査です。閉塞性動脈硬化症など、動脈に狭窄・閉塞がある患者さんの重症度を評価します。(事前に同意書をいただきます)
指尖容積脈波
手や足のゆびを測定器で軽くはさみ脈を感知する検査で、ゆび先の血流を調べます。
皮膚灌流圧
下肢の皮膚の血流量を調べます。測りたい部位に小さな血圧計を巻いて測定します。足の潰瘍が治りにくいなど、皮膚の血流不良が疑われる場合に行います。
経皮酸素分圧
下肢の皮膚の血流量を調べます。測りたい部位に44℃に温まるセンサーを貼り、15~20分置いて測定します。足の潰瘍や傷が治りにくいなど、皮膚の血流不良が疑われる場合に行います。
空気容積脈波
足の静脈の逆流量(立ったときに血液が足首方向へと流れてしまう)や、血液を送り出すはたらきを調べます。ふくらはぎに緩い血圧計のようなものを巻き、寝た姿勢から立ち上がったりつま先立ち運動をしたりして検査します。足のむくみや静脈瘤の治療前後など、静脈機能を評価したいときに行います。
脈管エコー
エコー(超音波検査)を使って動脈や静脈の太さや狭窄、流れの有無、流れる速度や方向などを評価します。下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、頸動脈、透析用シャント、腎動脈、下肢動脈などの検査を行っています。