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倫理指針

更新:2025年6月18日


川崎医科大学附属病院(以下、当院という。)は、下記のとおり、「職業倫理指針」及び「医療倫理の基本方針」を定め、当院における主な倫理的諸課題への対応方針を例示する。本倫理指針に基づいて倫理的諸課題に最適解を求め、適切な医療を提供することを院内外に宣する。

Ⅰ. 職業倫理指針

  1. 私たちは、専門的知識・技術を高めるよう自己研鑽に努め、安心かつ安全な医療を提供します。
  2. 私たちは、患者さんの権利を尊重・擁護し、公正な医療を提供します。
  3. 私たちは、治療方針について丁寧なインフォームド・コンセント取得に努め、患者さんの自己決定権を尊重します。
  4. 私たちは、守秘義務を遵守し、個人情報の保護に努めます。
  5. 私たちは、医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に貢献します。

Ⅱ. 医療倫理の基本指針

1. 医療倫理の四原則


当院は、医療に関わる倫理的諸課題について、下記医療倫理の四原則に基づいて判断し、行動します。
  1. 自立尊重の原則  
    患者さんが自己の健康に関する意思決定において自己決定権を持つことを尊重します。
    医療者の丁寧な説明に基づき、患者さんが理解・納得した上で、治療について自律的な決定ができるよう支援します。
  2. 無危害の原則
    治療・ケアが患者さんに潜在的な害を及ぼす可能性がある場合、そのリスクを予防・回避し、最小限に抑えます。
  3. 善行の原則
    医療行為を提供する際は、患者さんの利益になるよう最善を尽くします。
  4. 公正の原則
    限りある医療資源を、患者さんに平等かつ公平に提供します。

2. 法規範・ガイドライン等の遵守


医療倫理に関する諸課題について、関係法規及びガイドライン等を遵守します。

3. 医療倫理コンサルテーションチームと医療倫理委員会


患者さんの抱える倫理的課題について、医療チームで解決困難な場合には、多職種で構成される医療倫理コンサルテーションチームで協議し合意形成に努めます。
医療倫理コンサルテーションチームで協議した事案も含め、医療提供上、倫理的判断 が必要とされる場合は、川崎医科大学附属病院医療倫理委員会で審議・検討します。

4. 医学系研究について


臨床研究等の「医学系研究」は、「臨床研究法」及び「人を対象とする生命医学・医学系研究に関する倫理指針」を遵守し、臨床研究審査委員会もしくは川崎医科大学・同附属病院倫理委員会で審議します。

Ⅲ.当院における主な倫理的諸課題への対応方針

 

1. 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセス


当院は、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関する指針」に基づき、人生の最終段階における患者さん自身の意思決定を支援します。時間の経過や心身の状態等に応じて意思は変化しうることを前提に、医療チームが患者さんやご家族等と繰り返し話し合うことで、患者さんにとって最善の意思決定となるよう支援します。

2. 意識障害や認知症等のため意思決定ができない患者さんの場合の治療方針


患者さんの意思が確認できない場合は、医療チームが家族等と十分に話し合い、患者さんにとって最善と思われる方針を決定します。同様の状況で家族等がいらっしゃらない患者さんであっても、患者さんにとって最善の方針を検討し選択するよう努めます。

3. 心肺停止時に蘇生行為を行わない(DNAR)指示


人生の最終段階において心肺停止時に蘇生行為を行っても救命の可能性がないと認 められる場合、蘇生行為を行わないことを医師が指示することをDNAR指示といいます。これは、患者さん又はご家族等の意思が確認できていることが必須の条件です。

4. 宗教上等の理由で、輸血を拒否される場合の治療方針 


当院は、患者さんの病状に対し医学的に適切な治療を行うことを原則とします。無輸血治療について、当院は、患者さんの意向に寄り添う医療を心がけますが、治療上輸血の必要があれば、輸血を伴う医療を実施します。これを「相対的無輸血方針」といいます。説明を尽くしてもなお輸血を拒否される場合は、他院の受診をおすすめします。当院医師は、無輸血治療を前提とした「免責証明書」などの書面には署名いたしませんのでご理解ください。

5. 身体拘束について


可能なかぎり身体拘束を行わず、患者さんの人権尊重に努めます。ただし、やむを得ない場合においては、以下の3条件を満たすことを多職種で確認・協議のうえ必要最低限の身体拘束を行う場合があります。
 1. 切迫性:身体拘束を行わないと患者さん本人または第三者等の生命や身体が危険にさらされる可能
  が著しく高いこと
 2.  非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に安全を確保するための方法が他にないこと
 3.  一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること

6. 臓器提供について


法令を遵守し、当院が定める「脳死下での臓器提供マニュアル」に従って対応します。

7. 出生前診断について


当院日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会より無侵襲性出生前検査(NIPT)を実施する医療機関(基幹施設)として認証を受けています。遺伝カウンセリングも可能です。厚労省及び日本産科婦人科学会の指針に基づき運用します。

8. ゲノム医療について


当院は がんゲノム医療センターを有しています。学会のガイドラインに沿って医療提供します。

9. 新規・未承認・適応外の医療提供


患者さんに重大な影響を及ぼすことが想定される新しい治療・検査(高難度新規医療技術)、未承認医薬品・未承認医療機器等の使用、医薬品・医療機器等の適応外使用については、法令に基づき院内の適切な手続きを経て実施します。

10. 治験について


参加される方の人権を最優先にして、治験に関わる各種法令にしたがい、院内の適切な手続きを経て実施します。

11. 虐待が疑われる場合


児童虐待、高齢者虐待、障害者虐待の疑いが認められる場合、法令にしたがい、公的機関への通報・通告を行います。

12. ペイシェント・ハラスメント行為(迷惑行為)について


院内におけるすべての暴力・暴言・嫌がらせ・セクハラ・業務妨害などの迷惑行為があった場合、当院は診療契約に伴う信頼関係が喪失したものと判断し、診療をお断りする場合があります。

13. 新たな倫理的課題


法規範、ガイドライン、院内規程に定めのない倫理的課題が生じた場合、当院は「Ⅱ.医療倫理の基本方針」に従い判断します。必要に応じて、医療倫理コンサルテーションチーム、川崎医科大学附属病院医療倫理委員会で協議・検討します。



川崎医科大学附属病院医療倫理委員会
2025年6月10日制定