がんセンター
がん治療
“がん”の治療内容などについて、分かりやすくQ&Aで解説します。
皮膚がん
Q1皮膚がんにはどんな種類があるのでしょうか?
- A1
- 有棘細胞がん、基底細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ、ほくろのがん)などが知られています。その他にも、乳房外パジェット病、メルケル細胞がん、血管肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、といったものがあります。また、他臓器がんの転移でも皮膚に出現することがあります。皮膚がんの種類はとても多様で、皮膚そのものだけではなく、毛包、汗管、脂腺、神経、脈管、皮下組織など、様々な組織ががん化し皮膚がんとして現れます。
Q2皮膚がんにかかるとどんな症状がでるのでしょうか?
- A2
- 皮膚がんの種類によっても違います。例えば悪性黒色腫では、最初は黒色から褐色の色素斑(しみ)として気付きます。一般的に、「形が左右対称ではない」「周りがきれいではなくいびつ」「色むらがある」「大きさが6mm以上」「1年といった、比較的短い期間で大きくなる」という特徴があります。また、有棘細胞がんは、早期では痒みのない、がさがさした赤み、小さなしこり程度です。基底細胞がんは顔にできることが多く、光沢のある(てかてかした)黒いほくろのようなできものであることが多いです。いずれも早期ではほとんどの場合症状はありません。しかし時間が経つにつれ、増大し、表面のガサガサが強くなったり、汁が出たり、出血したりするようになります。数ヶ月-1年で倍以上の大きさとなる場合は、特に注意が必要です。
Q3皮膚がんの原因にはどのようなものがありますか?
- A3
- 皮膚がんの原因として最もよく知られているのが日光・紫外線です。有棘細胞がん、その前段階の日光角化症、基底細胞がん、顔面にできる悪性黒色腫などで関連がいわれています。その他、熱傷瘢痕(火傷のあと)にできる皮膚がん、特定のウイルスが関連する皮膚がん、また皮膚がんができやすい家系の方もおられます。
Q4皮膚がんの予防方法はありますか?
- A4
- 紫外線を避ける、日焼け止めを塗るなどの遮光が最も効果的です。高齢化に伴い長期間紫外線にあたり続けることで、皮膚がんは近年増加傾向にあります。
Q5皮膚がんはどのように診断するのですか?
- A5
- 典型的であれば視診(見た目)、触診(硬いか柔らかいか、皮膚深くまであるのは表面だけなのか、など)、ダーモスコピー(ライトがついた専用の拡大鏡を使って、診察室で皮膚を詳しく観察する検査)、体表超音波検査など痛みを伴わない検査で診断可能です。確実でない場合などは必要に応じて、皮膚生検(局所麻酔をして細胞を取る検査)、CT検査やMRI検査を施行します。
Q6皮膚がんにはどんな治療がありますか?
- A6
-
皮膚がんの種類、進行度によって治療方針が変わります。
- 多くの皮膚がんで手術が第一選択になります。遠隔転移(肺や肝臓など他の臓器への転移)がない場合、根治切除(病変すべてを取りきること)が可能と判断された場合に選択されます。がんの種類、大きさによってはセンチネルリンパ節生検(一番初めに転移するリンパ節のみを切除する)、リンパ節郭清(周囲のリンパ節を一塊にとりだす)、再発予防のため術後に化学療法を組み合わせる場合があります。
- 化学療法、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬は他臓器に転移がある場合、手術で全て取り切ることができない場合に選択されることがあります。がんの種類によって使用できる治療薬が決まっています。
- 放射線療法はがんの種類により、放射線感受性が良い(よく効く)がんで適応となる場合があります。また、化学療法と併用することで、相互に治療効果を高めることも期待されていますが、副作用も増えてしまうため慎重に検討し決定します。
- 日光角化症などの初期のがんであれば外用剤で根治できる可能性があります。
Q7皮膚がんに対する治療はどのような方針で行っていますか?
- A7
-
がんの種類によって、治療指針となるガイドラインが策定されており、それを基に治療を行います。ただし、皮膚がんには珍しい、希少がんと言われるものも多く、明確な治療法が決まっていないがんも多数存在します。過去の症例報告、海外の文献などを参考にカンファレンスを行い最善の治療法を検討します。
また、患者さんの年齢、心臓/肺/腎臓/肝臓など各臓器の状態、家庭環境などを考慮し、できる限りQOL(生活の質)を保ち、なおかつ治療効果の期待できる治療法を提案させていただきます。最終的には患者さん、ご家族の意見を尊重し治療方針を決定します。
Q8皮膚がんの手術はどのようなことをするのですか?
- A8
-
皮膚がんが比較的浅い場合、周囲の正常皮膚と皮下の正常な脂肪をつけて取り残しがないよう切除します。切除後、まずは単純縫縮(縫い縮める)にて傷を閉じます。きつくて縫い寄せることが難しい場合は皮弁形成(周辺の皮膚を移動させる)、植皮術(大腿部や鼡径部などの皮膚を移植する)が必要なこともあります。部位によって、傷あとがなるべく目立ちにくい、機能的に問題とならない方法を提案します。切除する皮膚がんの近くに重要な神経、血管、筋肉などがある場合は可能な限り温存し、過不足ない治療を心掛けています。皮膚がんが進行し、骨や筋肉にまで到達する深い場合などは、周囲正常皮膚に加え、骨・筋肉も合わせて切除します。必要があれば他科と連携し手術を行うこともあります。
また、皮膚がんがリンパ節に転移を認める場合はリンパ節郭清を行うこともあります。
Q9手術を受けた場合の入院期間はどれくらいでしょうか?
- A9
- 創部の経過によりますが、単純縫縮であれば入院の必要がないものから3泊程度、皮弁形成であれば3泊から7泊程度、植皮術であれば、10泊から14泊程度が目安となります。大きい手術の場合は入院期間もそれ以上になることもあります。
Q10皮膚がんの手術を行った後の生活はどうなりますか?
- A10
- 皮膚がんは全身の皮膚どこにでもできる可能性があるため、一概には言えませんが、多くの方は傷あとが残る以外は変わりなく、これまで通りの生活が送れます。術前には起こりえる合併症などを詳しく説明させていただきます。
Q11皮膚がんの化学療法とはどのようなものでしょうか。
- A11
-
切除術後に行う再発予防のための化学療法と、根治切除不能の場合や転移・再発をきたした場合に行う化学療法の2つがあります。がんの種類やステージ(進行具合)により、使用可能な化学療法が決まっています。
内服で行う化学療法、点滴で行う化学療法があり、どちらも外来通院で治療可能な場合があります。外来通院での治療は、「通院治療センター」で行います。点滴の化学療法の一部には2週間程度の入院で投薬が必要な場合もあります。
Q12皮膚がんの放射線療法とはどのようなものでしょうか
- A12
- 皮膚がんの部分に放射線をあてて行う治療法です。可能な限りがん組織に放射線を集中させ、がんの縮小ないし、死滅を目指します。1日1回(1回につき約10-15分程度で終わります)の治療を週に5回行います。多くの場合はそれを数週間連続して行います。放射線をあてる回数はがんの種類、部位によって異なります。照射範囲、回数は放射線治療科医師と検討し決定します。