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がんセンター

がん治療

“がん”の治療内容などについて、分かりやすくQ&Aで解説します。

大腸がん

Q1直腸がんだと人工肛門になりますか?

A1
多くの患者さんは人工肛門になりません。最近では、肛門近くにできたがんでも肛門を温存できる手術を行っています(しかし、一時的な人工肛門は必要です)。ただしそれにより、肛門機能が障害され排便異常(頻回の便や便失禁(漏れ))をきたすこともあります。肛門を残すことが生活の質(QOL)を低下させる可能性があるので、手術を受けられる前に十分に説明をお聞きください。

Q2大腸内視鏡で早期がんと診断されたのですが、どうしても手術は必要ですか?

A2
大腸の早期がんはがんの範囲が浅いところまでにとどまっているという意味です。がんの範囲が深くなるにつれて、リンパ節や他の臓器への転移の可能性が上がっていきます。大腸がんの場合、がんが粘膜やその下の組織にわずかに広がった程度ではリンパ節などへの転移がないことがこれまでの研究で分かっているので、内視鏡治療で終わることができます。しかし、それ以上の深さまでがんが到達した場合、リンパ節転移の可能性が出てきます。したがって、早期がんでも転移の可能性のある範囲のリンパ節を切除(リンパ節郭清)しなければ、がんが残っている可能性があるので手術を受けられることをお勧めします。

Q3腹腔鏡手術はどんな手術ですか?

A3
おなかに数ヵ所ポートという細い管を通し、炭酸ガスで中を膨らませた状態をつくり、開腹手術と同じ範囲の切除・吻合を行います。以前のように、大きく開腹していた時と比べて傷は小さくなり、痛みが少なくなっただけではなく、回復も早くなっています。最近の進歩により4Kや8Kなど優れた解像度の画像で観察できるため、出血も少なくなり、合併症も少ない傾向です。術後の治療成績(5年生存率)も多くのケースで開腹手術と同じです。当院では技術認定医を中心に大腸がん専門スタッフが手術を担当し、ほかの臓器に浸潤した進行がんでない限りほとんどの症例を腹腔鏡で行っています。

Q4手術の後遺症はありますか?

A4
大腸には水分の再吸収という機能があります。また、直腸には便をためておく機能があります。大腸がん術後の後遺症として起こりやすいのは排便異常です。手術により大腸が短くなり、切離・吻合のため腸管運動の協調性がなくなると、術後の大腸の運動は不規則となることがあります。そのため、便は速く通過すれば下痢になりますし、停滞すれば便秘になります。さらに直腸がんの術後では便をためておくことができなくなるため、便の回数が頻回になったり、下痢になりやすくなります。肛門括約筋の一部を切るような手術を受けられた場合は睡眠中に便漏れが起きることもあります。
骨盤の自律神経は性機能(勃起や射精)や排尿機能をコントロールしています。特に直腸の進行がんでは手術により、これらの自律神経機能が障害される可能性があります。こういった術後障害を防ぐため、手術前に抗がん剤と放射線の併用治療を行い、自律神経を温存する手術を行っています。