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女性の更年期障害について

女性の更年期障害

  更年期という言葉を耳にする機会は割と多いのではないでしょうか。女性なら誰にでも訪れる時期で、多かれ少なかれ悩まれる方もいるのではないでしょうか。気になる症状があるけれど、誰かに相談した方がいいのかな?がまんできなくもないな?そんなふうに思われている方が実は多いようです。
 2022 年
3月に厚生労働省が「更年期症状・障害に関する意識調査」を行いました。その結果、 「医療機関を受診して更年期障害と診断されたことがある/診断されている」人の割合は、40歳代女性で36%、50歳代女性で91%と1割に満たない状況です。
 一方で医療機関を受診はしていないが更年期障害の可能性があると考えている人は、
40歳代女性で283%、50歳代女性で383%という結果でした。つまり、なんとなくこの体調の変化は更年期が関係しているのかなと思ってはいても、なかなか医療機関受診までは足が進まない人が多くいるということです。
 ついつい自分のことは後回しになってしまう…そんな方々にお読み頂けたらと思います。


こんな症状ありませんか?


①血管の拡張と放熱に関する症状:ほてり、 のぼせ、ホットフラッシ ュ 、発汗など
②その他の身体症状: めまい、動悸、 肩こり、 頭痛、関節痛、 しびれ、疲れやすさ、冷えなど
③精神症状:気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など
これらは主に更年期症状といわれるものです。
12ヵ月以上月経が来ないことを閉経といい、日本人 女性の閉経年齢は50歳前後と言われています。更年期とは、 一般的に閉経前後の約10年間で、誰にでもやってくる時期です。更年期に起こる様々な症状で日常生活に支障が出るほど不調な状態のことを更年期障害と言います。更年期症状に関しては個人差が大きく、症状がすごくつらい人もいれば、まったく何の症状もないという人まで様々です。

更年期障害はなぜ起こるの?


  女性ホルモン(エ ストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していくことが、更年期障害の主な原因と言われています。加えて加齢などの身体的因子、性格などの心理的因子、職場や家庭における人間関係などの社会的因子が複雑に絡み合 っ て発症すると考えられて います。
 加齢によ っ て女性ホル モ ンの 一 つ であるエ ストロゲンが低下すると自律神経失調症状(ほてり、 のぼせなど) 、精神神経症状(倦怠感、 不安、 不眠、物忘れなど) 、 骨密度 の低下、 動脈硬化や狭心症、 コ レ ス テ ロ ー ル 値 の 異常、肌の ハ リ・ ツヤの低下、などが起こ っ てきます。 こ のように エ スト ロゲ ンは私たち の生活に密接に関係して います。


がまんする必要はありません


  更年期症状は誰にでも起こる可能性がありますが、日常生活に支障が出ている場合は思い切って受診してみましょう。困っ ている症状を教えてください。受診した結果、更年期による症状でなくても良いのです。他の病気が隠れていてそれが見つかることもあります。見つか っ たら改め て必要な診療科を受診したら い い の です。

どんな治療が行われるのか


  更年期障害の治療としてカウンセリング療法、食事療法、運動療法、薬物療法(ホルモン剤、漢方薬、向精神薬・自律神経調整薬)があります。カウンセリング療法は感情、精神面などのトラブルに悩む場合におすすめです。自身の健康について相談する時がライフスタイルを見直す良い機会になるの ではない でしょうか。
 食事療法では毎日
3食規則正しく食べることを基本としましょう。またバランスのよい食事と合わせて、女性ホルモンと似た作用のある大豆イソフラボンなどの栄養素を摂取しましょう。
 適度な運動習慣が更年期にも有効であることがわかってきています。ウォーキングを中心とした有酸素運動がおすすめです。楽しく無理なく続けましょう。
 ホルモン補充療法(H R T )は、減少したエストロゲン(卵胞ホルモン)を補充する療法です。保険適用で、更年期障害の根本的な治療法として最も期待されています。症状を改善したいけれど、ホルモン剤と聞くと少し不安に感じられる方もおられます。その場合は主治医とメリット、デメリットについて話をしてみましょう。


更年期をうまく過ごすためのポイント


・がまんしすぎない
・誰かに話してみましょう
・ 更年期障害に対し て主治医と相談し て納得 の い く治療を
・骨粗鬆症の予防と治療
・更年期からの健康管理とQ O L の維持・向上


更年期障害チェックリスト


執筆者

医長(講師) 杉原 弥香 Mika Sugihara
専門分野 周産期、胎児超音波、産婦人科一般

認定医・専門医・指導医 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医、日本超音波医学会認定超音波専門医、日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)、日本人類遺伝学会/日本遺伝カウンセリング学会臨床遺伝専門医、母体保護法指定医、女性のヘルスケアアドバイザー養成プログラム修了、J-MELSベーシックコース・インストラクター

出身大学
長崎大学 H19.3 卒業

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