良医育成支援センター

Kawasaki Medical School Hospital Center for Doctors' Career Development

庵谷センター長 顔写真 2025.11

「良医育成支援センター」のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。当センターは「良医を育成する」という理念のもと、医師としての第一歩を踏み出す初期研修医を中心に、専攻医を含む若手医師の教育と支援に取り組んでおります。医師としての基盤を築く大切な時期をしっかりと支え、研修医の皆さんがのびのびと、そして有意義に学べる環境を整えることが私たちの使命です。

初期研修の2年間は、診療の知識や技術を習得するだけでなく、患者さんの思いに寄り添い、チーム医療の一員として協働する姿勢を身につける重要な期間です。医師は単なる専門家ではなく、患者さんの人生の大切な局面に寄り添う存在でもあります。だからこそ、研修医の皆さんには「人を診る」姿勢を育んでほしいと願っています。また医学生の皆さんにとっても、ここでの学びは未来の医師像を描くうえで貴重な経験となるでしょう。

当院の研修環境には三つの特徴があります。第一に、安心して挑戦できる雰囲気です。失敗を恐れず、疑問を率直に伝えられる文化を大切にしており、上級医や指導医に対して「わからないことをわからないと言える」環境づくりに力を入れています。第二に、幅広い症例と充実した指導体制です。プライマリ・ケアから救急医療、専門診療科まで多様な診療現場を経験でき、指導医やスタッフが常に研修医を支えます。第三に、学びを共有する場の豊富さです。カンファレンスや勉強会を通じて知識を深めるだけでなく、仲間と議論し、互いに成長できる機会を多数設けています。年間を通じて、モーニングケースカンファレンス、レジデントセミナー、スキルアップセミナー、CPC、研修医ワークショップなど、多彩な教育プログラムを整えております。

具体的な取り組みとしては、各診療科でのローテーションによる幅広い臨床経験の獲得、救急外来や地域医療研修を通じた患者さんの生活背景への理解など、多面的な学習環境を用意しています。また、指導医による定期的なフィードバックやメンタリングを実施し、研修医一人ひとりの成長をきめ細かく支援しています。さらに、研修医同士の交流を深めるプログラムを設け、仲間と切磋琢磨しながらチームワークを育む環境づくりにも努めています。

当センターでは専攻医に対する支援にも力を入れています。初期研修で培った基盤をもとに専門性を深める過程においても、教育的サポートを継続して提供しています。専攻医は将来の専門医を目指す重要な段階にありますが、その根底には「良医」としての姿勢が欠かせません。当センターは初期研修から専攻医研修まで一貫した育成体制を整え、若手医師が安心して成長できる環境を提供しています。

研修医・専攻医の皆さんには、主体的に学び続ける姿勢を大切にしてほしいと思います。医療は絶えず進歩する分野であり、自ら学び取る姿勢が成長を大きく後押しします。そして、どのような専門分野に進んだとしても、患者さんに寄り添う心を忘れないでください。患者さんにとっての「良医」とは、専門性の高さに加え、人として信頼できる存在であることを意味します。

最後に、患者さん・医学生・医師の皆さまへ。当センターは「ここでの研修が人生の財産となる」ことを信じ、研修環境のさらなる充実に努めてまいります。患者さんには安心して医療を受けていただけるよう、研修医教育を通じて医療の質向上に取り組んでいます。医学生の皆さんには、未来の医師像を描く場として研修の機会を活用していただきたいと願っています。そして研修医・専攻医の皆さんには、ここで得た経験を糧に、社会に貢献できる「良医」として大きく羽ばたいていただきたいと思います。

「良医育成支援センター」は、若手医師の成長を支えるとともに、地域医療の発展にも寄与してまいります。これからも「良医を育成する」という理念を胸に、未来を担う医師の皆さんと共に歩み続けます。

特色と役割

卓越した卒後臨床教育の実践は、良質な医療の提供、医学生への卒前臨床教育と並んで当院に託された使命です。 優れた卒後臨床研修プログラムを開発・提供・実践し、全国から意欲的な研修医の結集を図ることが当センターの役割です。 研修医はいずれの診療科・医局にも所属せず、各プログラム、及び全プログラムを統括するセンターに帰属します。

個々の研修医の志向に合わせた研修プログラムの立案や、居室や宿舎など研修環境の整備にも当たります。各研修医のニーズにきめ細かく応えるべく、専任の事務職員3名が配されています。研修に直接関係する事項のみならず研修医の日常生活上で発生する課題にも丁寧に個々に対応しています。全研修医が安心して臨床研修に専念できる最高の研修環境を提供することを目標にしています。

全研修医を対象とした教育プログラムとして、モーニングレポート(火曜8:00~8:30)、レジデントセミナー(水曜17:30~19:00)を実施しています。さらに、地域保健・医療、産婦人科、精神科等のいくつかの領域においては、当院を基幹型研修病院とし、近隣の協力病院・施設と協力して有効な教育の実現を図ります。研修病院群の有機的な構築もセンターの役割となります。

センター組織の構成

センター長、並びに全科から70名の指導医が任命されております。また、専任事務職員3名を擁しセンター業務の実務を運営しています。 卒後臨床研修委員会を設置し、委員長1名と、12名の委員を置き、毎月定期的に委員会を開催し、研修全般について協議します。 さらに、その上部委員会として、レジデント教育委員会が組織されており、隔月開催され後期臨床研修も含めた研修全般の統括的管理・運営に当たっています。

特記すべきは卒後臨床研修委員会に研修医の代表者複数名が参加していることです。 研修医の中で希望者は随時参加することも可能です。 研修医の希望や意向をきめ細かくくみ取り、研修に反映させています。 研修医たちが自ら作り上げる卒後臨床研修にすることを目指しています。

今後の動向と課題

大学及び附属病院は、今後、社会において大きく3種類のサービスを提供することが求められます。 患者さんに対しての医療サービス、医学生に対する医学教育、そして第三の機能として卒後臨床教育です。 患者さんから選ばれるだけではなく、全国の医学生から優れた研修病院として選択されなければなりません。 臨床研修という教育サービスを提供することが重要なテーマとなるのです。 意欲的で有望な研修医を確保することは、病院の医療の質に直結します。 そのためには優れた臨床研修の実践以外に王道はないものと考えております。 現在研修中の研修医、また、将来の研修医が当院での研修に十二分な満足度を得ることができるように、最高の研修環境を提供すべくセンターとして最善を尽くします。 また研修医は医師としてだけでなく、良き社会人としても育成されることが求められています。 当院は病院の全職員の協力の下、研修医教育に取り組んでいきます。