後期臨床研修

各科専門医プログラム

麻酔・集中治療科

2024年度に専門研修を開始する予定の研修医は下記をご覧ください。

プログラムの特色と研修医へのメッセージ

初期臨床研修を終えた諸君へ

皆さんは初期臨床研修に満足されたでしょうか?後期臨床研修では、いよいよ専門分野に進みたい、あるいはもう少し一般的な分野で研修したいと思われている方もいるでしょう。

麻酔・集中治療医学での後期臨床研修あるいは入局を考慮してはいかがでしょう。ご存知のように、麻酔科医は、専門医として瞬時の判断力と素早い対応能力を持ち、また、最先端のモニターや医療機器を自由に使いこなし、手術室のチーム医療で中心的な役割を果たしています。

当科は、1996年に麻酔科から麻酔・集中治療科となりました。この意味するところは、麻酔科として手術時の麻酔管理から、手術前の患者の全身評価、手術中の麻酔管理、術後の管理、そして重症患者の集中治療を、責任を持って担当するという気概です。アメリカ、ヨーロッパでは麻酔科は、既に周術期医学の方向に発展しております。私たちの進むべきは従来型の麻酔科専門医を超えて周術期を担当するperioperative physicianであると考えています。

皆さんは、麻酔・集中治療医学の後期臨床研修においてperioperative physicianとして活躍し、周術期患者管理と重症患者の全身管理を通じて、自らの体で最先端の危機管理能力とチーム医療を修得することができます。

2015年度から日本麻酔科学会麻酔科専門医研修プログラムが始まっています。川崎医科大学附属病院麻酔・集中治療科はこのプログラムに対応し、責任基幹施設として充実した臨床能力の高い麻酔科専門医を養成するプログラムを提供します。

研修プログラム

当院においてシニアレジデントとして6年間の研修制度があります。

シニアレジデント1年目

指導医の下で合併症のない患者、軽度の合併症のある患者の麻酔、周術期管理をします。また、回復室、ICUにおける一般的な全身管理を指導医の指導の下に行います。
専門医取得に必要な単位など

シニアレジデント2年目

指導医の下で重症合併症のある患者を含めあらゆる患者の麻酔と周術期管理をします。また、ICUにおいて指導医の下で重症患者の全身管理を行います。麻酔・集中治療科の主当直を担当します。
小児症例、心臓外科、呼吸器外科などの強化月間を設けて集中的に経験することができます。

シニアレジデント3年目

ほぼ独立してあらゆる手術の麻酔、重症患者の周術期管理ができるようになります。麻酔科標榜医の申請を行います。

シニアレジデント4年目

スーパーバイザーとして手術の麻酔、重症患者の周術期管理ができるようになります。ペインクリニック指導医の指導の下に慢性病患者の診療を行う。

シニアレジデント5年目・6年目

スーパーバイザーとして手術の麻酔あるいはICUを担当します。ペインクリニックで、外来・病棟で慢性病患者の診療を行う。

日本麻酔科学会専門医、集中治療専門医・ペインクリニック専門医の申請を行います。

シニアレジデントは大学病院の臨床助教です。医大生の指導、後輩の指導を担当します。また、研修の傍ら基礎的研究を行うこともできます。日本学術振興会の科学研究補助金を申請することも可能です。

研修実績

これまで多数の麻酔科専門医及び麻酔科標榜医を輩出しており、全国の大病院において指導的立場で活躍しています。

また、大学院に進学する者も毎年のようにおり、多数の学位取得者を輩出しております。そのうち安川毅医師は、大学院在学中にアメリカ、テネシー大学に2年間留学し、現在は教育関連病院にて、麻酔科・集中治療科医師として活躍しています。留学に当たっては、留学先からのスカラシップ以外に、川崎医科大学 の川崎祐宣基金から助成を受けることもできます。

取得できる資格、経験できる症例、手技など

到達目標は、狭い意味の麻酔科医ではなく、周術期管理を全て担当できるall roundな麻酔科医であり、6年間かけて、人材を育成します。2年間の研修の後に厚生労働省の麻酔科標榜医資格を申請できます。

当科は次の学会認定を受けています。

1.日本麻酔科学会 2.日本集中治療医学会 3.日本ペインクリニック学会

上記の学会の専門医試験を受験することができます。麻酔については、2年終了後に厚労省麻酔科標榜医、日本麻酔科学会認定医を、そして専門医取得後に日本麻酔科学指導医の資格を得ることができます。

麻酔科医はBLSとACLSの普及も大きな責任があり、アメリカ心臓協会(AHA)公認のヘルスケアプロバイダーのためのBasic life supportとAdvanced cardiovascular life supportの資格を取得するようにしています。

循環管理に欠かせない食道心エコー図については、アメリカ合衆国の周術期経食道心エコー図試験(PTEeXAM)や日本の周術期経食道心エコー図試験(JB-POT試験)を受けるのにも大変有利です。

経験できる麻酔・集中治療症例
  • 年間約4600例の麻酔症例があり、大学病院として、全ての科の麻酔症例を経験できます。また、途中で専門病院や施設にて特定分野の麻酔(小児麻酔、心臓麻酔など)、専門的集中治療を勉強することも可能です。
  • ICU・CCU において、外科患者のみならず、内科的重症患者(重症感染症、呼吸不全、敗血症、急性循環不全、慢性呼吸不全、脳卒中)を含めて年間600名近くの重症患者の管理と治療を行っています。人工呼吸器、血液浄化、気管支ファイバースコープ、循環補助、超音波エコーなどの装置の使用にも習熟します。
将来

関東、関西、北九州はじめ全国に多くのネットワークがあります。各地の専門病院、有名基幹病院での研修あるいは就職も可能です。また、大学病院に残り、教育と学究への道を歩むことも可能です。