1995年1月17日、兵庫県南部地方を襲った阪神・淡路大震災では、家屋の倒壊などにより6,437人の死者・行方不明者を出しました。 多くの地域で道路が寸断されたことで救急車の出動が困難をきわめるなか、消防防災ヘリの救助活動に期待がかかりましたが、当日に搬送された傷病者はたった1人、3日間の合計でも17人と非常に少ないものでした。これを機に、災害時の医療救護活動には救急医療を専門とするヘリコプターが必要であるとの声が高まり、1999年8月に内閣内政審議室に「ドクターヘリ調査検討委員会」が設置され、2001年4月のドクターヘリの本格運用につながりました。2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の巨大地震は、三陸沖に大津波を引き起こし、震災による死者・行方不明者は1万8,000人を超えました。阪神・淡路大震災の教訓を活かして、東日本大震災では18機のドクターヘリが現場に出動し、孤立した医療機関から160人以上を搬送するなど、救命・救助活動に当たりました。出動したヘリの数は当時全国に配備されていた26機の約70%にのぼります。一方で、道府県を超えて出動するためのルールができておらず、また、現地での運航調整や指揮命令系統で課題が残りました。こうした課題を解決するために、2013年11月に航空法施行規則第176条が改正され、2015年7月に防災基本計画が改定。2016年12月に厚生労働省が大規模災害時における指針を策定しました。20ドクターヘリ運航20周年記念誌阪神・淡路大震災をきっかけに東日本大震災での活躍導入のきっかけと広がり日本で正式に運航が始まったのは2001年4月。導入のきっかけとなったのは1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災でした。その後、ドクターヘリを導入する道府県は年々増え、2022年3月現在、ドクターヘリは全国45道府県に54機が配備されています。ドクターヘリの本格運用が始まった2001年度以降の導入道府県数・機数と出動件数は上のとおりです。機数が2007年度と2009年度を起点として急激に増えていることに注目。2007年6月にはドクターヘリ特別措置法が成立し、2009年3月には導入道府県の財政負担を軽減するための特別交付税交付金が始まりました。ドクターヘリについて ドクターヘリの実績の推移
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