更新:平成28年2月26日

認知行動療法

慢性痛に対する認知行動療法(CBT)とは、簡単に言うと、単に痛みを取り除くというよりも、痛みを抱えながらも豊かな人生を送る技術を身につける方法です。この治療法は、すでに海外ではその効果が証明されています。
痛みを取り除きたいと思うと、つい薬などの治療に頼ってしまいがちになります。薬は短期間なら良いのですが、長期になると副作用が心配です。薬に頼らず、自分で痛みをコントロールできれば、それが一番です。簡単な例を挙げましょう。
例えば、痛みがあると外出する気持ちにならないことが多いと思います。でも家に閉じこもっていたら気分が落ち込んで痛みも悪化するかもしれません。いざ外出しようと思っても、「出歩いたらもっと痛くなるかも…」等と考えて、怖くなるかもしれません。
そこで認知行動療法では、思い切って外出してみる計画を立てたり、自分を怖くさせるような考え方を見直してみたりと、自分の行動や認知(考え)を工夫してみるのです。 そうすると気分がよくなるかもしれません。気分が良くなれば、痛みがあってもあまり気にならないかもしれません。さらには、痛みが強くなりにくいような生活習慣を見つけることができるかもしれません。もしそれが実現すれば、痛みが残っていたとしても、生活の質は以前よりもグッと高くなることでしょう。 このように行動や認知、そして気分を変えることで、生活が豊かになったり、痛みの感じ方が変化したりすることがあるのです。医師や臨床心理士といっしょに、日記や記録をつけて、そのことを一緒に確かめていきます。これがCBTです。
当院では、毎週もしくは2週間に1回の面談を8回行っています。

川崎医科大学 麻酔集中治療科 西江宏行
就実大学 講師 臨床心理士 岩佐和典