更新:2025年4月1日

消化器外科|上部消化管

治療している主な病気

上部消化管

食道疾患

食道がん

⾷道がん⼿術は胸やお腹を大きく切開するだけでなく、首の部分の切開も必要になるため、からだに大きな負担がかかります。当科では、体への負担をできるだけ少なくするために、胸腔鏡や腹腔鏡を使った低侵襲手術(体にやさしい手術)を行っています。また、⼼臓や肺に持病がある方には、体に負担の少ない経横隔膜⾷道抜去術という方法を行うことも可能です。手術が難しい⾷道がんの場合は抗がん剤や免疫治療、放射線治療を組み合わせて治療を行います。当科は、国内の大規模な臨床試験に参加しており、最新の治療を受けることも可能です。

食道裂孔ヘルニア

胃が横隔膜(お腹と胸の間の膜)を越えて、ずり上がってしまうと、胃の入り口がしっかり閉じられず、胃液が⾷道に逆流しやすくなります。このような症状に対しては、胃を正しい位置にもどし胃液の逆流を防ぐための手術を⾏います。当科では、体に負担の少ない腹腔鏡⼿術を⾏っています。

胃・十二指腸疾患

胃がん

当科では、腹腔鏡を使った胃の手術(腹腔鏡下幽門側胃切除など)を行い、できるだけ体への負担を減らすよう心がけています。また、胃の入り口(噴門)にできた早期のがんに対しては、腹腔鏡下噴門側胃切除を行っています。全摘を避け、胃をなるべく残すことで、術後の食事量の減少や体重減少を抑え、患者さんの生活の質(QOL)の向上を目指します。ロボット支援手術も選択できます。

がんが他の臓器に広がっている場合でも、まず詳しい検査を行い、抗がん剤や分子標的薬、免疫治療を組み合わせて治療し、根治手術(完治を目指す手術)を行うことも可能です。手術後の抗がん剤治療や、再発時の治療も⾏っています。当科はさまざまな臨床試験に参加しているため、最新の治療を受けることもできます。

胃腫瘍(悪性リンパ腫、GISTなど)

胃のGIST(消化管間質腫瘍)は、体への負担が少ない腹腔鏡下胃局所切除という手術で治療します。手術後の病理検査(がんの詳しい検査)の結果、再発のリスクが高いと判断された場合は、追加の抗がん剤治療を行います。リスクが低い場合は、定期的な経過観察を行います。

悪性リンパ腫(胃にできる血液のがん)の治療については、消化器内科や血液内科と連携しながら、最適な治療を提供します。

胃・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の潰瘍が悪化して穴(穿孔)が開いてしまった場合、緊急⼿術が必要になります。当科では、患者さんの状態に応じて、腹腔鏡手術を行っています。

その他

正中弓状靱帯圧迫症候群(腹腔動脈圧迫症候群)

この病気は、お腹の臓器に血液を送る「腹腔動脈」が靱帯に圧迫されることで起こります。その結果、食後の腹痛や吐き気、嘔吐、胸痛、胸やけ、体重減少などの症状が現れます。あまり知られていない病気ですが、人口の3~7%の方に見られるという報告もあり、決して珍しい病気ではありません。CTや超音波検査で診断が可能です。最も効果的な治療法は、腹腔鏡手術による靱帯の切開です。この手術により症状が劇的に改善し、生活の質が向上します。当院は、この手術の症例数が西日本で最も多く、経験豊富な医師が治療を行っています。原因不明の腹痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。