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不眠症について

更新日:2018/06/30

不眠症の診断について

みなさん、夜はよく眠れているでしょうか。おそらく多くの方が、「考え事をしていて、
なかなか寝付けなかった」「夜中に何度も目が覚めて困った」というような経験があったり、
そのような話を聞かれたことがあると思います。では、こういった症状があれば不眠症と
診断されるのでしょうか。

ここではまず不眠症の診断について説明したいと思います。
他の病気と同じように不眠症にも診断基準があります。
詳細は省きますが、診断基準には大きく分けて2つの要素があります。
1つは、当然のことですが、寝付きが悪い(入眠困難)、夜中に何度も目が覚める(睡眠維持困難)、
朝早くから目が覚める(早朝覚醒)など、眠りに問題を感じていること。
もう1つは、これらの症状のせいで、疲労感がある、集中できない、イライラする、眠気があるなど、
日中に何らかの問題(=日中機能障害)があることで、この2つがそろって初めて不眠症と
診断することになっています。つまり、「寝つきは良くないけど昼間は普通に過ごしている」
という場合は不眠症には当てはまらないことになります。
因みに睡眠時間は診断基準の中には入っていません。

睡眠薬を飲む前に・・・

不眠症にはいろいろな原因があり、とてもここでは書ききれませんし、
原因がわからない不眠症(原発性不眠症)もあるのですが、生活習慣の中に原因がみつかることも多いです。
(下図を参照)
眠る前のスマートフォンの使用を控えるだけでも、眠りの質が改善することもあります。
睡眠障害対処12の指針

また、特に中年以降の方に心がけていただきたいのは、
「遅寝早起き」の習慣です(早寝早起きではありません!)。

実は、眠りの質は睡眠時間よりも「睡眠効率」で決まると言われています。
睡眠効率とは、布団に入っている時間のうち、実際に眠っている時間の割合です。
例えば6時間眠る人が布団の中で10時間過ごすと、睡眠効率は60%になります。
個人差はありますが、睡眠効率が85%以上であれば良い眠りとされています。
睡眠時間は年齢とともに短くなり、65歳の健康な人の平均睡眠時間は6時間くらいです。
ところが、この年齢の方が、しっかり眠りたいと思って夜は早くから布団に入り、
朝は目が覚めてもなかなか布団から出ようとせず、布団の中で12時間くらい過ごすことになると、
睡眠効率は約50%になり、眠りの質はかなり落ちてしまいます。
このような場合、「遅寝早起き」にすることで、たとえ同じ6時間であっても睡眠効率は高くなり、
眠りの質が良くなります。「遅寝早起き」を心がけるだけで不眠症が治ったり、睡眠薬を減らしたり
止めたりできることも珍しくありません。なお、中年以降は理想的な眠りが続く人は
少なくなりますが、1週間単位で振り返ってみて「まあまあかな」と思えるようなら大丈夫です。

睡眠薬は止められない?


 生活習慣を見直し、いろいろな工夫をしてもうまくいかない場合、睡眠薬による治療が必要になります。
睡眠薬を初めて飲まれる方は、「いったん飲み始めたら止められなくなりそうで怖い」という
イメージをもっている方が少なくありません。確かに、これまで使われていた薬の中には、
止めようとすると急に眠れなくなるなど止めにくいものもあったのですが、
最近は依存性がなく止めやすい薬が使われることが多くなっています。
 ただし、眠れるようになっても薬はしばらく飲み続けてから慎重に減らしていく必要があり、
自己判断で減らしたり止めたりすると失敗することがあるので、担当の先生と
よく相談していただきたいと思います。


 
K-style vol.55 2018夏号より
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執筆者

部長(教授) 石原 武士 Takeshi Ishihara
専門分野 臨床精神医学

認定医・専門医・指導医 精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本認知症学会専門医・指導医、精神保健判定医、日本総合病院精神医学会一般病院連携精神医学専門医・指導医、日本医師会認定産業医、日本老年精神医学会専門医・指導医

出身大学
岡山大学 H3.3 卒業

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