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動脈瘤について

更新日:2018/03/20

気づきにくい大動脈瘤 サイレントキラー

我が国は高齢化社会の進行に加え、世界一のCT大国であることから、
偶然に大動脈瘤が発見されることが多くなっています。元々の血管正常部分よりも
1.5倍以上拡大すると大動脈瘤と称されますので、胸部で4〜4.5cm、腹部で3cmくらいから
大動脈瘤と言われることになります。
大動脈瘤の合併症としては破裂、塞栓症、凝固異常や圧迫症状などがありますが、
最も重大な合併症は破裂です。
ひとたび破裂をした場合は致命的となるため、
破裂リスクの高い大動脈瘤は待期的治療を行い破裂を予防する必要があります。

一方で、破裂するまで多くの大動脈瘤は無症状であり、よくサイレントキラーと言われる所以です。
破裂リスクは大動脈瘤のサイズや形態、拡大速度などによって左右されます。
小さな大動脈瘤は破裂リスクがほぼないので、慌てて治療をする必要はありません。
また、重量挙げのような息む運動以外は普通に運動しても差し支えがなく、
日常生活にも特に制限はありません。
ただ、大動脈瘤は年間に6%くらい拡大すると言われておりますので、
年に1〜2回定期的にCTで大きさを確認しておくことは大切です。

動脈瘤アイコン


どういった人にできやすいの


大動脈瘤ができやすい人は、

・男性
・60歳以上
・タバコを吸う方
・血圧が高い方   などです。

また、身内(血縁3親等内)に動脈瘤のある方は注意が必要です。
大動脈瘤の最もできやすい部分は腹部大動脈ですが、我が国のエコーの検診でも
3cm以上の腹部大動脈瘤は60〜69歳男性1.6%、女性0.6%、70〜79歳でそれぞれ5.7%、1.3%、
80歳以上で9.2%、5.7%と言われています。
特に喫煙は心臓血管病の多大なる危険因子です。
タバコを吸われる方は吸わない方に比べて7.4倍、動脈瘤が多いという調査もあります。
また、禁煙によりそのリスクは3.6倍まで下がるとも言われておりますので
今から禁煙しても遅くはありません。

動脈瘤は血圧の高い方に多いのですが、特に「かくれ高血圧」の方は注意が必要です。
健康診断では高血圧と言われるものの、その後何回も自分で測定して高くないと安心しているような方を
「かくれ高血圧」といい、高血圧が放置されていることに他なりません。
高血圧を放置して大動脈瘤や大動脈解離などを発症し、
それを契機に高血圧の治療をされる方々は多いのです。
もう少し早く高血圧の治療を開始していれば予防できたかもしれないと後悔しないためにも
高血圧の治療は大切です。

大動脈瘤に対する治療 人工血管置換とステントグラフト内挿術

大動脈瘤の治療の目的は拡大、破裂の予防です。
まず、小さな大動脈瘤の治療は血圧の管理、禁煙が中心で年1〜2回のCTで
その大きさなどを確認することになります。
腹部で5.5cm、胸部で6.0cmに近づいてくると、そろそろ手術の必要があります。

治療の目的は破裂の予防です。

人工血管置換術は胸やお腹を開けて、膨らんだ大動脈を人工血管で取り替える方法です。
腎臓の血管以下であればそのまま大動脈を遮断して行いますが、
それよりも心臓に近い場所の場合は血管を遮断している間は
人工心肺という装置を使って、大事な臓器の血流を維持しながら人工血管置換を行います。
現在でも最も根治的な治療ですが、ご高齢や色々な余病のために手術のリスクが高くなる場合があります。
そういった方にはステントグラフト内挿術という方法もあります。
これは足の付け根の血管(大腿動脈)などから折りたたんだバネ付きの人工血管を
血管の中に挿入し、血管を内側から補強する方法です。
胸やお腹を切らずに、大動脈の遮断も人工心肺も必要がありませんので
手術としては侵襲度が小さくなりますが、動脈瘤がなくならないため、
動脈瘤内に血流が残る場合(エンドリーク)があります。
また、大動脈瘤全てに行えるわけではなく、動脈瘤の前後に拡張していない
正常な部分(ネック)がある程度必要です。

こうした治療を使い分け、場合によっては外科手術とステントグラフトを
組み合わせるなどして患者さん一人一人にあった最適の方法を選択すること
ができます。



 
K-style vol.54 2018春号より
k-style54

執筆者

部長(教授) 金岡 祐司 Yuji Kanaoka
専門分野 心臓血管外科一般、血管内治療

認定医・専門医・指導医 日本外科学会外科専門医・指導医、日本胸部外科学会指導医、心臓血管外科修練指導者、日本循環器学会認定循環器専門医、心臓血管外科専門医、血管内レーザー焼灼術実施・管理委員会下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による指導医、日本血管外科学会認定血管内治療医、浅大腿動脈ステントグラフト実施医、日本脈管学会認定脈管専門医

出身大学
岡山大学 H1.3 卒業

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