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女性の不妊症について

更新日:2018/01/01

不妊症が増えています

妊娠を希望しているにも関わらず1年経過しても妊娠に至らない場合を不妊症と言います。

結婚年齢の高齢化などの社会的背景の変化によって不妊症は増加していると考えられており、
現在では6組に1組ほどの割合で不妊症の方がいます。平成27年に行われた体外受精は
42万件余りで赤ちゃんの約20人に1人に当たる約5万1000人が体外受精の技術による
妊娠で誕生しています。女性の年齢にもよりますが、半年で妊娠しなければ
検査や治療を考えても良いと思います。

 妊娠のプロセスと不妊症の検査


妊娠のプロセスは図(下記)に示すように排卵時期に精子が卵管膨大部まで移動します。

女性不妊イラスト

一方、排卵した卵子は卵管に拾い上げられて卵管膨大部に移動し、精子と受精が成立します。
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら子宮内に移動し、1週間後に子宮内膜に着床して
妊娠が成立します。この妊娠のプロセスのどこかに問題があると不妊症となります。

不妊症の原因は、大きく男性側(精子)と女性側に分けられ、さらに女性側では排卵因子、
卵管因子、子宮因子、頸管因子に分けられます。
以前には不妊症の原因の多くが女性側にあると言われていましたが、
現在では男女別の原因はほぼ同程度であると考えられています。
不妊症の治療を行うにあたっては不妊原因を特定することが重要です。

男性側の検査として精液検査を行います。精液検査で異常が見出された場合には
泌尿器科にて詳しい検査を行います。
当院には男性不妊の専門医も永井敦部長をはじめ複数います。

女性側の原因が多岐にわたるので産婦人科受診後2〜3か月かけて原因を検索して行きます。
排卵因子の検査として基礎体温、ホルモン検査、超音波検査による卵胞発育測定などを行います。
基礎体温は、起床時に口腔内の体温を測定するもので排卵に伴って基礎体温が上昇すること
によって排卵の有無さらには妊娠の診断を行うことができ、必須の検査と言えます。
卵管因子の検査として子宮卵管造影検査、クラミジア検査などを行います。
子宮卵管造影検査によって子宮内の異常も見出すことが出来ます。
頸管因子の検査として頸管粘液検査やフーナー検査(性交後検査)を行います。
フーナー検査は、性交渉後の精子が子宮頸管内で元気に動いていることを確認する検査です。

不妊症の治療

不妊症イラスト
不妊原因が見出されると治療を行います。不妊治療には原因そのものを治療する方法と
不妊の原因を飛び越えて治療する方法があります。

排卵障害の場合、排卵誘発を行います。排卵誘発に際しては、過剰刺激による卵巣腫大や
血液濃縮をきたす卵巣過剰刺激症候群の発生や多胎妊娠などの副作用があり、
十分に注意を払う必要があります。
卵管因子の場合、腹腔鏡手術などで卵管の手術を行うこともありますが、
最近では体外受精などの高度生殖補助医療(ART)を行うことも多いです。
頸管因子の場合、排卵の時期に精子を子宮内に注入する人工授精を行います。
男性因子の場合、泌尿器科での治療を行い、必要に応じて人工授精やARTを行います。
いずれにしても、治療にとって排卵時期を知ることが重要で超音波検査での卵胞の大きさや
子宮内膜の厚みの測定や排卵検査薬を用いて治療のタイミングを探るようにします。

不妊症の治療は確立されたものとなってきましたが、身体的・経済的負担のみならず
精神的負担も大きく、治療にあたって心のケアも含めた対応が必要です。
当院では心のケアを含めた治療を重視するとともに県内の複数の施設とも協力して
個々の患者さんに合った治療を選択しています。



 
K-style vol.53 2018新年号より
k-style53

執筆者

部長(教授) 下屋 浩一郎 Kouichirou Shimoya
専門分野 周産期、不妊、不育症、生殖内分泌・免疫、産婦人科一般

認定医・専門医・指導医 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本周産期・新生児医学会暫定指導医、母体保護法指定医、日本生殖医学会生殖医療専門医

出身大学
大阪大学 S61.3 卒業

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