川崎医大附属病院 50周年記念誌
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72永井敦病院長、和田秀穂副院長、中塚秀輝副院長、平松貴子看護部長、守田光宏事務部長に、それぞれの立場から附属病院の今と“これから”について話を聞いた。病院長 永井 敦副院長 和田 秀穂―お断りのない救急についてお話ください―和田:当院の救急診療体制は地域医療の中核として小児科も含めた初期救急、二次救急医療はもとより広島、島根、鳥取、兵庫などの近隣県を含めた広域の三次救急をカバーして、24時間体制をとっています。強みは基本19領域の専門指導医が揃っている施設である、ということです。これまでお断りゼロを目指して体制を整えてきました。もちろんお断りせざるを得ないこともあります。国の政策として、病院を規模や機能に応じて区別し、それぞれに合った患者を受け入れなさい、という仕組みも作られています。そういった状況においても、患者にとってよりよい選択肢が何かを考え、その結果、患者に寄り添った答えとして当院ではなく他の医療機関をご紹介することもあります。地域連携の充実も当院の強みですから。―地域の基幹病院としての役割とは?―永井:これまでの50年、高度な医療の提供や、「24時間いつでも診療を行う」の標榜で、地域の基幹病院として根付いてきました。2024(令和6)年4月から医師の働き方改革が始まります。これによって、患者に寄り添うことが難しくなってくるかもしれません。しかし、当院は川﨑祐宣初代病院長の「医療者は自分を犠牲にしてでも苦しむ患者のために尽くすものだ」という高邁な考え方の中で生まれた病院です。理念は踏襲しながら概念を変えて行く。「できない」ではなく、「できるためにはどうすればよいか」の知恵を出し合い、医療環境の変化にも柔軟に対応して、安全・安心な医療提供に努めたいものです。―川崎医科大学附属病院の「大学病院」としての役割とは?―永井:大学病院としての役割は、理念の4と5に書いてあるとおりなんです。(「先進的かつ高度な医療・教育・研究を行う」「地域の医療福祉の向上と医療人の育成を行う」)これを基本に、大学病院としてのブランド力をもっと身につけたいですね。そのためには人材の養成が非常に大事になります。どこまで優秀な人材が出てくるか。その人材を育てるための人材集めも必要です。医師だけでなく、メディカルスタッフの育成も非常に大事になってきます。そしてそれを次に伝えるために、次世代のリーダーたちをいかに有効に育てて行くかも重要なことです。川崎医科大学附属病院のこれからについて思いを語る

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