特別病室病室(8人室)21なつかしの写真 1973(昭和48)年に竣工した附属病院の本館棟は、地上16階、地下1階、延べ床面積は約8万平米で、当時としては目を見張る規模の建物であった。病院と同一建物内に教員研究室、研究センター、医科大学図書館、800人収容可能な大講堂も配置され、隣接の医科大学校舎棟とは渡り廊下でつながっていた。1階から4階までの外来エリアには当時最新の画像診断装置を備えた中央放射線部、精度の高い検査を行う中央検査部、全科の診療録を管理する中央病歴室等が置かれた。許可病床数は1,000床を超え、10階から15階までの病棟は東、西、南病棟の三つのウイングで一フロアを構成し、その中心にあるナースステーションでは病棟間の連携が密にでき、効率的な診療業務が行われる設計となっていた。院内にはボックストレベーター、エアシューターといった、当時としては最新の搬送システムが張り巡らされ、医薬品や医療材料、帳票類の搬送が効率よく行われた。 開院当初は画期的かつ機能的な病院建物であったが、経年とともに最新の医療を提供するには手狭となった。さらに設備の老朽化も伴い、患者にとって快適な療養環境を整備するため、1998(平成10)年、病院の全面改修を行う方針が打ち出された。 まず、2002(平成14)年、本館棟の西の松林の丘陵地に350床の病棟が入る西館棟が竣工した。西館棟増築工事は、病院の機能を止めずに移転し、すぐに稼働できるようなフロア構成で計画されていた。「臓器疾患・機能別センター」として再編され、患者アメニティが向上した病棟、中央手術室、栄養部、中央検査部、病院病理部、サプライセンター等がリニューアル移転した。続いて本館棟改修工事が、中、南、東病棟のウイングごとに実施された。各フロアには病棟(病室)のほかに、腎センター、通院治療センター、NICU、人間ドック宿泊ラウンジやMEセンター、臨床教育研修センター等も整備された。外来エリアについては、約4年がかりの工程を組み、診療を続けながら改修工事を行った。各科の診察室や処置室は病棟と同様に「臓器疾患・機能別センター外来」に再編し、プライバシーに配慮した空間・設備を整備した。また、PET/CTの新規導入、CT、MRI等の最新機種への更新、内視鏡・超音波センターや生理機能検査エリアの拡張など、より高度な検査や診断・治療が実施できる体制となった。2009(平成21)年には北館棟が竣工し、救急部門とリハビリテーション部門が大きくリニューアルされた。本館棟2階のエントランスフロアには、患者診療支援センター、患者図書室やカフェも設置し外来改修工事は終了し、約10年にわたる附属病院増築・改修工事は2010(平成22)年にすべて完了した。 それから10年以上経った現在、すでに次の計画を考える時が来ている。今後、災害に強く、より安全な病院として地域に貢献できるよう、本館棟の耐震改修工事の検討が進んでいる。2000年から始まった附属病院増築・改修工事
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