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脂質異常症と食事について

更新日:2021/01/19

脂質異常症と食事の関係性

脂質異常症の食事療法では、脂質異常症のタイプによって食事のアプローチが異なります。
エネルギーの過剰摂取に注意し栄養のバランスの整った食事をすることは共通していますが、自分のタイプに合わせ、血中脂質の上昇を抑えてくれる食品を上手に選択する必要があります。

脂質異常症のタイプは、以下の3つのタイプに分けられます。
高LDLコレステロール血症(悪玉コレステロールの数値が高い)
高トリグリセライド血症(中性脂肪が高い)
低HDLコレステロール血症(善玉コレステロールの数値が低い)

糖質の過剰摂取や油の多い料理、コレステロールの多い食品の食べすぎは肝臓でのトリグリセライドやコレステロールの合成が促進され内臓脂肪を増やす要因になります。
それが高血糖や高血圧、脂肪肝などにつながり、さまざまな生活習慣病の発症リスクを高めます。
ただ油の使用量を減らせばいいというわけでなく、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の割合が多くならないなど油の質にも注意し、できるだけ早い段階で食生活を改善していきましょう。

食事において気をつけること

高LDLコレステロール血症の場合


1.飽和脂肪酸(肉の脂身が多い部位)、コレステロール(卵やレバーなどの内臓)を多く含む食品を控えましょう
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2.豆腐、納豆などの大豆製品を摂りましょう
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3.野菜、海藻類、きのこなどの食物繊維をしっかり摂りましょう
コレステロールの体内への吸収を抑えてくれます。
1日あたりの目安は食物繊維20~25g、野菜として1日350g程度となります。
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4.油の種類を選びましょう
動物性より、オリーブオイル、ひまわり油などの植物性がお勧めです。
ただし、摂りすぎはエネルギー過剰になるので注意です。
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高トリグリセライド血症の場合


1.魚の摂取頻度(特にマグロやサバなどの青魚)をあげましょう
魚に多く含まれるDHAやEPAなどの油は、血液の流れを良くするはたらきがあります。
1日1回は魚の献立にし、週に3回程度は青魚を選びましょう。
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2.菓子類、清涼飲料水はやめましょう
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3.穀物の主食量、果物の摂取を適量にしましょう
果物にふくまれる果糖が中性脂肪をあげる原因にもなります。
脂質_高トリ3

4.アルコールは適量に抑えましょう
1日あたりの目安量はアルコール量として20~25gで、ビール500ml、日本酒1合、焼酎(35度)約70mlとなります。
週に2日の休肝日を作ってあげましょう。
脂質_高トリ4

低HDLコレステロール血症の場合


1.トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニングなど)の摂りすぎに注意しましょう
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2.栄養素のバランスが整った食事にしましょう
極端な糖質制限にならないように、たくさんの栄養素を摂るようにしましょう。
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食事療法をはじめとする生活習慣の改善はすぐには効果が現れないため、続けることに難しさを感じるかもしれません。
しかし健康的な生活を送ることは、脂質異常症の改善だけでなく他の生活習慣病の予防にもなるので、継続していきましょう。






執筆者
蜂谷 祐子 Yuko Hachiya
川崎医科大学附属病院 栄養部 副主任

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